スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

宋初の武将

宋代初期の政治家、というか武将、というか軍人を調べようと思って、とりあえず『東都事略』や『宋史』の列伝とか、『宋人伝記資料索引』とか、その手のものをみたが、逸話の類が思ったよりも少ない。で、宋人の逸話には『宋人軼事彙編』という便利本があるので、それを調べてみても、ほとんどない。というか曹彬以降の武官には逸話が残っているが、それ以前の符彦卿とか王全斌とか、そういう頼もしい武将(民からじゃんじゃん略奪しまくる人々)の項目がそもそもない。

そういえば北宋の資料を読んでいても、曹彬の逸話は多々目にするが、五代から宋代初期に活躍した人々の逸話はあまりみない気がする。気にしていなかったから、というのもあるだろうが。やはり五代以来の武将と宋代の士大夫との間には直接的なつながりがないので、士大夫にしてみれば、五代以来の武将の伝記・逸話なんぞ書き残してやる必要はないということなのだろうか。もう少し調べてみないと何ともいえないけども。

とはいえ、正式な歴史書となると、太祖とともに活躍した創業の功臣の伝記を立てないわけにもいかず、その意味では上記の符彦卿たちも伝記は立てられているので、いかに身内びいきで悪辣な士大夫といえども、無視はできなかったのだろう。ほかの時代なんて正史に伝がなければ、あらましすらわからないくらいなんだから、それと比べれば史料が少ないわけでもなんでもないのかもしれないな。

宋は周の後を比較的うまい感じで継承したから、創業の功臣というのがわかりにくい。いないのかもしれないし、いたのだけど資料的に過小評価されているのかもしれないし、そのあたりも含めて少し調べてみよう。


おおむかし、高校生の時分、五代十国を覚えたときは、五代と十国の違いが今ひとつわからず(正統とかの区分も実感としてよくわからなかったのだろう)、その後も五代と十国と同じくらいの強さなんだろうかとか思っていたが、後になると、なるほど五代は五代でしかないのだろうな。

もちろん一度の戦争は一国の戦力が直接反映されるわけではないし、五代みたいな内乱状態だと、一度負けると国が瓦解する可能性もあるので、もしかしたら南唐が北の一部くらいは奪取できたのかもしれないけど、燕州や雲州、河北や太原の騎馬兵を南唐が防げるとも思えず、南から北を攻め落とすのは、大砲とか鉄砲が出てきたり、よほど優れた軍事的な能力でもないと、相当難しかろう。


中国のサイトで符彦卿を調べると、戦い方についていろいろ説明があった。さすがは本場だな。勉強になるなあ。いや、勉強しなくてもいいことなんだけどね。

宋史』のwikiをみると、妙な感じで記事のある人とない人が併存している。各種の分野で有名な人に項目が立っているのはわかるが、必ずしも著名とは思われない人に項目が立っていて、結構著名な人に項目がない。選別の仕方がよくわからないな。まぁ、どーでもいいけど。


ATOK2008はさすがにwindows10でつかえなかった。いや、大半のところでは問題なく起動するが、デスクトップからの検索や付箋でIMEをオンにすると、機能が停止したり、IEMがオンにならなかったりするようだ。8年も前のものだから、あたりまえだな。

スポンサーサイト

王時槐のことなど

先週はいろいろあって疲れた。おかげで権衡の予備もなくなってしまった。予想外に時間をくうときがあるので、一日一条もばかにできたものではないな。まぁ焦るものではないし、そもそも巻五以降はまとめるかどうかもわかったものではない。どうでもいいといえばどうでもいい。

そういえば王時槐の生涯を観てみると、40歳くらいで引退して思索に耽っていたそうだ。で、はじめそれを読んだとき、「だから陽明学者はおもしろくないんだよ、優秀なんだからもっと世の中でがんばれよ」と思ったのだが、さらに考えてみて、「40以降に思索に耽るような生活をすると、世の中との関係が絶たれてしまい*1、視野狭窄に陥ってひどく歪んだ思索の結果だけが出来上がるのではあるまいか、やはり価値ね~な」と思ったが、さらに思い直して、「いや、現在でもリタイヤした大学の学者が、学会との関係をたって自由に思索をはじめると、意味不明なことを主張し始めることがあるので、王時槐の場合も人間通有のものなのだろうか、だとすれば知識人の病弊のサンプルとして調べる価値くらいあるかもしれない」と思うようになり、最終的に「とはいえ、40をこえて孤独に思索を続けて、しかもそれが(当時の一部の人には)すぐれた成果だったとすれば、やはり彼は歪んだ結論に行き着く並の思索家ではなく、人間精神の機微を見抜く優れた思索家だったのだろうか」という肯定的な評価に進み、「まぁ単なる学者では死んでから尊敬されないわな、すぐれていて当たり前だわな、読む価値もあるのかもしれないな」というところにまで到達した。もっともこの間10分たらずのことだから、他人が私の頭をのぞきみすれば、一瞬で変節したように見えるだろうが、私の頭はつねにそんな感じだ。

とはいえ、私としては隠遁して思索に耽る人間よりも、政治家なり軍人なりとして思索に耽る人間の方によりおもしろみを感じるので、陽明学者よりも朱子学者に好感を抱くのは致し方ないところではある。どーでもいいけど。

*1 学者仲間との関係は断絶していないらしいが、気の合う人間同士の関係に限られてくるので、視野は大いに狭まる。

王時槐集

前に紹介した「王時槐集」を入手したので、その感想でも書いておこう。むろん古典の読書の友として、という程度の感想であって、研究の資料に堪えられるかというのは、もとより埒外の話である。

「王時槐集」は以下の4部から成っている。
1.友慶堂存稿
2.友慶堂合稿
3.自考録
4.広仁類編

基本的に大陸の版本を用いているらしいが、2.友慶堂合稿は一部に存目叢書所収本を底本にしたらしい。1.と2.は一部の重複を除き、基本的に別系統の本で、収録文章もかなり異なる。3.は民国時代に出版されたらしいが、限定出版だったらしい。大陸のほか、九州大学の楠本文庫にも所蔵とのことだが、楠本文庫は九州大学にないので、なにかの間違いだろう。(楠本は楠本正継のことだろうから、楠本先生にまつわる九大の文庫か、あるいは国士舘にある楠本文庫だと思う。手元に目録はないので詳細不明。)

編者の編集説明と目録、内容から考えると、1.友慶堂存稿は公的なものが多く、2.に未収録の公移を多数含んでいる。2.友慶堂合稿は思想的なものが多い。3.自考録は年譜ではないが、王時槐の回想記的なもので、王時槐の思想を考える上で興味深い記事が多い。4.広仁類編は古典から仁的行為をおこなった人の逸話をもちよったもの。四庫提要の評価がおもしろい。

編者によれば、1.友慶堂存稿と2.友慶堂合稿ともに、王時槐の全集ではなく、それぞれの編集目的にそって作られたものだとのことであり、どちらが先行するかも現時点では断定できないとのことであった。ちなみに現行本では、会語は2.に収録されており、1.には収録されていない。また1.は王時槐が生前編集していた同名の「友慶堂存稿」とは別物で、後人が王時槐の編集物を集め直したものだという。

やはり一番おもしろいのは自考録だと思うが、それ以外も日本ではなかなかお目にかかれなかった1.友慶堂存稿を読めるようになったのは、ありがたいはなしだと思う。まぁ、わたしが王時槐の著作を精読することはないが、ぱらぱら読むぶんには楽しいだろう。というよりも、彼の著作を読んでも、変態的な朱子学者には見えど、陽明学者に見えないところがおもしろい。

そういえば書虫に張元忭集が写真つきで紹介されていた。もう発売されていたようだ。

陽明後学文献叢書および続編

むかし「陽明後学文献叢書」が発売されたとき、このブログにも感想を書いたが、ぼちぼちその続編も出そろいそうなので、どんなものが出版されているのか、少しまとめてみる。ちなみに「陽明後学」というのは「王陽明の後学」の意味で、「文献叢書」というのは、該当人物の著作および伝記資料をまとめたものという程度の意味らしく、編集物を含むいわゆる全集よりはやや狭いが、その人物の主要著作はほぼ網羅している。

「陽明後学文献叢書」(鳳凰。大陸の出版物)
1.徐愛、銭徳洪、董澐合集
2.鄒守益集(上下)
3.欧陽徳集
4.王畿集
5.聶豹集
6.羅洪先集(上下)
7.羅汝芳集(上下)

この中、「羅洪先集」に対して、「羅洪先集補編」(2009年。台湾の出版物)が出版されている。これは台湾に所蔵されていた別本から「羅洪先集」未収録の文章を集めたものらしい(『補編』は未見)。

鳳凰の「陽明後学文献叢書」は、さすがに陽明後学として名高い人々のものがほとんどで、特に鄒東廓(守益)や欧陽南野(徳)の著作が出版されたのは、陽明学研究にとって大変に価値のあることだと思う。もっとも前にも書いたが、これほど錚錚たるたる人々を集めているのに、王心斎が入っていないのには、やはり手落ちの感は拭えない。

「陽明後学文献叢書」(続編。上海古籍出版社)
1.薛侃集
2.黄綰集
3.劉元卿集
4.胡直集
5.張元忭集(未刊)
6.王時槐集
7.北方王門集(未刊)

こちらは前回登場した人々の後に活躍した学者を集めたもののようである。いずれも著名な人々ではあるが、なぜ劉元卿や胡直でなければならず、周汝登であってはならないのかは、よくわからない。内容的には続編も正編と同じく、主要著作を収め、さらに該当人物に対する伝記資料を附録として載せており、有益である。

なお、これ以外の陽明学者の文献ということで、「陽明後学文献叢書」の「出版縁起」に、既刊の整理本として以下のものがあがっている。

・黄綰「明道編」(中華書局,1959)
・何心隠「何心隠集」(中華書局,1960)
・林大欽「林大欽集」(広東人民出版社,1995)……不明
・顔鈞「顔鈞集」(中国社会科学出版社,1999)
・焦竑「澹園集」(中華書局,1999。理学叢書の一)
・趙貞吉「趙貞吉詩文集注」(巴蜀書社,1999)……趙大洲のこと
・王艮「王心斎全集」(江蘇教育出版社,2001)
・張璁「張璁集」(上海社会科学院出版社,2004)
・程文徳「程文徳集」(香港銀河出版社,2005。修訂版,上海古籍出版社,2012)
・王叔杲「王叔杲集」(上海社会科学院出版社,2005)
・項喬「項喬集」(上海社会科学院出版社,2006)
・鄧豁渠「南詢録校注」(武漢理工大学出版社,2008)
・王叔果「王叔果集」(黄山出版社,2009)
・季本「四書私存」(台湾 文史哲研究所,2012)

その他、つい最近発売された万廷言「万廷言集」(中華書局。理学叢書の一)や近刊らしい周汝登「周汝登集」(「浙江文叢」の一で、一種の全集)がある。また李材「正学堂稿」、許孚遠「敬和堂集」 、耿定向「耿天台先生文集」といった陽明学者、あるいはその共鳴者の文献が「儒蔵」(精華編)に収録されており、あるいは既刊、あるいは出版予定となっている。陽明のライバル(?)という意味では、羅欽順の「困知記」(中華書局。理学叢書の一)、「整庵先生存稿」(「儒蔵 精華編」)、 湛若水「湛甘泉先生文集」(「儒蔵 精華編」)も出ている。

ということで、一時代前に比べれば、飛躍的に陽明学の研究はやりやすくなっていると思うが、同時に、明(特に明末)というのは、異常なほど文献があることでも有名なので、例えば鄒東廓について調べようとすれば、彼とその一族の言葉を集めた「鄒氏学脉」のような語録集もあれば、孫の鄒徳涵の「鄒聚所先生文集」あたりも、可能なら閲読したい、というようなことにもあり、どうにも切りのない状態に陥る。

それなりの大学に在籍している場合は、続修四庫全書なり存目叢書なりを利用できれば、それでも閲読可能な範囲は飛躍的に広がるが、そこが明末の嫌なところで、両叢書(続修四庫全書はもともと陽明学関係者の著作はあまり収めていない)に収められていないものも多く、陽明学研究には悩みの種はつきない。

とまあ、今回はこんなところで。

陽明学関係の本がたくさん出てるのね

張元忭集もでるのか。そういえば陽明後学文献叢書は、正続あわせて、そこそこ購入しているなぁ。陽明のファンでないし、そもそも読むこともないのだが、ついつい購入している。で、あるていど揃っていると、新刊がでたときにまた追加で購入してしまう。わるい癖だな。

張元忭集は近刊あつかいになっているが、現在のところ、続編は薛侃集、黄綰集、劉元卿集、胡直集、王時槐集が出ているようだな(「~集」の~の部分が人名)。薛侃集、黄綰集は読みたい部分がなかったし、王時槐集は注文してまだ届いてないのでわからないが、劉元卿集は悪くなかった。で、多分だけど胡直集も悪くないと思う(こちらは買おうと思いつつ、まだ買っていない)。むかし彼の『衡廬精舎蔵稿』をぱらぱらめくったが、逸話・寓話の類がそこそこ入っていて、読むには面白い本だったように思う。劉元卿は言わずもがな、そちらの話がうまい(らしい)ので、そういう意味でおもしろいと思う。

多分、本当に陽明学をやりたいなら、薛侃や黄綰は重用なんだと思うが、私の場合はそうでもないので、上のようなことになってしまう。

陽明関係の文献は、むかしは影印本しかなく、それも入手が難しかったが(線装本は論外)、最近ではこの前に万廷言集なんてのも理学叢書から発売されたし、なかなか勉強のしやすい世の中になったものだ。最近の研究者は当然のように中国語で漢籍を読むのだろうから、明代あたりまでくれば、その方が読みやすくもなるだろうし、なおのこと陽明学の研究はやりやすくなっているだろう。

陽明学の愛好家ではないから、うらやましいとは全くもって思わないが、結構なことに相違ない。大いに研究が進んでくれればよいと思う。もちろん、しなくても一向に構わないけど。

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
プロフィール

awatan

Author:awatan
HN:江藤清通
かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

自営サイト
最近の記事
カテゴリー
リンク集
全記事表示

全ての記事を表示する

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。