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両子張

余計なお世話だと思うが、いちおう書いておくと:

漢代には三つの系統の論語があったという。一は魯の地方で広まっていた論語(魯論)、一は斉の地方で広まっていた論語(斉論)、一は孔子の旧宅を破壊したときに壁から出てきたという古文の論語(古論)。古論がもっとも胡散臭いのはいうまでもなく、これには例の如く胡散臭い孔安国の訓説があるのみだったらしい。

現行本の論語の祖型は、上の魯論をベースに斉論と古論を参考にした鄭玄のテキストであるとされる(鄭玄の前に流行していたらしい張禹のテキストは魯論をベースに斉論を混ぜたものだったという)。その鄭玄のテキストをベースにして、鄭玄以後の学説を参照して作られたのが何晏の論語集解で、これにさらに注を施したのが、いわゆる論語注疏になる。

では三つの系統の論語にはどのような異同があったのか。三種とも現存しないのではっきり分からないが、ある学説に拠れば、以下のような関係にあるという:

魯論:二十篇。
  現行本に近いと考えられる。
斉論:二十二篇。
  魯論の二十篇以外に問王・知道という二篇があったらしい。
  下の古論にもこの二篇はなかったという。
  章句も魯論と大きくことなっていたらしい。
古論:二十一篇。
  魯論の二十篇に子張篇(魯論の子張篇とは別のもの)があったらしい。
  二つの子張篇を「両子張」という。
  章句は魯論・斉論と異なっていたらしい。

ちなみに章句というのは、章と句のことで、句読点のない本文を章ごとに分け、各章の句を定めることをいう。章句が異なるということは、各篇内部の章の数や句の判断が異なるという意味で、換言すれば現行本と大きく異なる解釈がなされていた(可能性がある)ということになる。もちろん現行本の章句と已に佚した章句とを比べた場合、已に佚した章句があまりに稚拙で見るに堪えないものである可能性は充分ある。

さて斉論にのみあったという問王・知道の二篇(正確に言うと「問王知道」の二篇としか分からず、「問」と「王知道」、「問王知」「道」と区分するのかもしれない)は、どのようなものか判然としない。ただ魯にまつわる魯論と古論に存在しないものであれば、斉において附加されたものであると推測される。

次に古論の両子張だが、これはさほど驚くべきものではない。わずか二十篇(二十一篇)程度の書物の篇名が重複するということ自体、古論編修の拙劣を感じさせるが、それはともかく、古論にのみ存在するという子張篇は、現行本・堯曰篇(第」二十篇)の後半を引きちぎって一篇にあてたものであるという。

現行本の堯曰篇は以下のようになっている(面倒なのでデータは中央研究院のを引っ張ってきただけ……だったが、あまりに見苦しいので二三の漢字を日本語用になおした)。

堯曰。咨爾舜。天之?數在爾躬。允執其中。四海困窮。天祿永終。舜亦以命禹。曰。予小子履。敢用玄牡。敢昭告于皇皇后帝。有罪不敢赦。帝臣不蔽。簡在帝心。朕躬有罪。無以萬方。萬方有罪。罪在朕躬。周有大賚。善人是富。雖有周親。不如仁人。百姓有過。在予一人。謹權量。審法度。脩廢官。四方之政行焉。興滅國。繼絶世。舉逸民。天下之民歸心焉。所重民。食。喪。祭。寛則得衆。信則民任焉。敏則有功。公則説。子張問於孔子曰。何如斯可以從政矣。子曰。尊五美。屏四惡。斯可以從政矣。子張曰。何謂五美。子曰。君子惠而不費。勞而不怨。欲而不貪。泰而不驕。威而不猛。子張曰。何謂惠而不費。子曰。因民之所利而利之。斯不亦惠而不費乎。擇可勞而勞之。又誰怨。欲仁而得仁。又焉貪。君子無衆寡。無小大。無敢慢。斯不亦泰而不驕乎。君子正其衣冠。尊其瞻視。儼然人望而畏之。斯不亦威而不猛乎。子張曰。何謂四惡。子曰。不教而殺。謂之虐。不戒視成。謂之暴。慢令致期謂之賊。猶之與人也。出納之吝。謂之有司。孔子曰。不知命。無以為君子也。不知禮。無以立也。不知言。無以知人也。



古論は上文中頃の「子張問於孔子」以下を分断して、「子張篇」に充てたという。

だから孔子の予言を云々するなら斉論の方が妥当だろうが、魯論と古論の関係からして、斉論の二篇はどこかの御吹聴家が勝手にくっつけたと考えるのが普通だと思われる。まぁ孔子の真意を知っている弟子が斉でその真説を継承し、論語に二篇くっつけたという可能性もないではない。問王・知道という篇名からして尋常ならざるものを感じさせる。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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