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漢文の教科書(2)

今回から個別に見ていこうと思ったが、あまり個別にやり過ぎると問題が出そうなので、やはり全般的な話に終始しておく。また全ての教科書を見たわけではないので、回数などは省略する。

で、やはり多いのは論語、史記、十八史略、孟子、荀子、老子、荘子、韓非子、墨子あたりになる。もっとも孟子以下は性善説と性悪説、無為自然、二柄(臣下の越権行為を許さない逸話)、兼愛・非攻などがほとんどで、全体的に分量も決して多くない。論語は閲覧した全ての教科書に掲載されているが、おそらく文章が短いのと有名なのとがあわさってのことだろう。

その他、韓愈の師説や桃花源記、めずらしいところでは人虎伝、朋党論などが採られている。人虎伝はそれなりの分量であるが、多くの教科書に採用されているわけではなく、やはり全般的にこれらの収録紙数は多くない。

教科書の中でもっとも幅をきかせているのは史記と十八史略だった。十八史略は管鮑の交をはじめ、三国志ねたなど、多彩な逸話を扱っている。一方の史記は項羽と劉邦の話はもっとも多く、特に鴻門の会と四面楚歌が多い。もちろん管鮑の交などは、十八史略ではなく史記で採用している教科書も多い。考えてみれば私が高校時代に使っていた教科書にも、管鮑の交と廉頗藺相如列伝、鴻門の会、四面楚歌などは載っていたような気がする(安井息軒の論語の解説がのっていたことだけは覚えている)。

教科書を通覧して気づくのは、古代に偏りが大きいことと、史書関係にかなりの頁が割かれているということだと思われる。これは(かつての)日本人の漢文好みの傾向にあわせたものかも知れないが、戦前から似たようなものが試験でだされていたことに鑑みると、これが日本人の思う漢文だったのかもしれない。

私のような人間からすると、史記のような泥臭いはなしはいらないから、王侯貴族の活躍を描いた美文でしられる漢書をこそ読むべきだし、諸子百家のような注釈がなければ読めない文献ではなく、宋代とか清代の文献を載せるべきだと思う。あるいは思い切って経学の文章でも載せたらどうかと思うが、これは教師が教えられないだろうから、載せる必用はあるまい。

まぁ何の為に漢文があるのか、という基本的なところがぐらついているわけだから、教科書の方針が一定しないのも無理はない。いちおう文部省の指導要領には「中国など外国の文化との関係について理解を深めるのに役立つこと」とあるが、順位はかなり低く、漢文が決して中国の文化を理解するためのものでないことは明らかだから、現状のような日本人好みの漢文が多数とられていても、しかたないといえばしかたがない。

ちなみに私がもっとも気に入った教科書は、筑摩のものですな。これでも不足を感じるくらいだが、実にいいセンスをしている。すばらしい。


高等学校学習指導要領(国語)
筑摩書房
第一学習社
教育出版
東京書籍
三省堂
大修館
明治書院
数研出版
右文書院
桐原書店


東京書籍の教科書は悪くないと思うが、会員にならないと詳細がわからない。しかも会員には学校の教師とその関係者しかなれない。あと調べるには調べたが個人的に興味を持てない出版社のリンクは省いた。

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