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陽明後学文献叢書および続編

むかし「陽明後学文献叢書」が発売されたとき、このブログにも感想を書いたが、ぼちぼちその続編も出そろいそうなので、どんなものが出版されているのか、少しまとめてみる。ちなみに「陽明後学」というのは「王陽明の後学」の意味で、「文献叢書」というのは、該当人物の著作および伝記資料をまとめたものという程度の意味らしく、編集物を含むいわゆる全集よりはやや狭いが、その人物の主要著作はほぼ網羅している。

「陽明後学文献叢書」(鳳凰。大陸の出版物)
1.徐愛、銭徳洪、董澐合集
2.鄒守益集(上下)
3.欧陽徳集
4.王畿集
5.聶豹集
6.羅洪先集(上下)
7.羅汝芳集(上下)

この中、「羅洪先集」に対して、「羅洪先集補編」(2009年。台湾の出版物)が出版されている。これは台湾に所蔵されていた別本から「羅洪先集」未収録の文章を集めたものらしい(『補編』は未見)。

鳳凰の「陽明後学文献叢書」は、さすがに陽明後学として名高い人々のものがほとんどで、特に鄒東廓(守益)や欧陽南野(徳)の著作が出版されたのは、陽明学研究にとって大変に価値のあることだと思う。もっとも前にも書いたが、これほど錚錚たるたる人々を集めているのに、王心斎が入っていないのには、やはり手落ちの感は拭えない。

「陽明後学文献叢書」(続編。上海古籍出版社)
1.薛侃集
2.黄綰集
3.劉元卿集
4.胡直集
5.張元忭集(未刊)
6.王時槐集
7.北方王門集(未刊)

こちらは前回登場した人々の後に活躍した学者を集めたもののようである。いずれも著名な人々ではあるが、なぜ劉元卿や胡直でなければならず、周汝登であってはならないのかは、よくわからない。内容的には続編も正編と同じく、主要著作を収め、さらに該当人物に対する伝記資料を附録として載せており、有益である。

なお、これ以外の陽明学者の文献ということで、「陽明後学文献叢書」の「出版縁起」に、既刊の整理本として以下のものがあがっている。

・黄綰「明道編」(中華書局,1959)
・何心隠「何心隠集」(中華書局,1960)
・林大欽「林大欽集」(広東人民出版社,1995)……不明
・顔鈞「顔鈞集」(中国社会科学出版社,1999)
・焦竑「澹園集」(中華書局,1999。理学叢書の一)
・趙貞吉「趙貞吉詩文集注」(巴蜀書社,1999)……趙大洲のこと
・王艮「王心斎全集」(江蘇教育出版社,2001)
・張璁「張璁集」(上海社会科学院出版社,2004)
・程文徳「程文徳集」(香港銀河出版社,2005。修訂版,上海古籍出版社,2012)
・王叔杲「王叔杲集」(上海社会科学院出版社,2005)
・項喬「項喬集」(上海社会科学院出版社,2006)
・鄧豁渠「南詢録校注」(武漢理工大学出版社,2008)
・王叔果「王叔果集」(黄山出版社,2009)
・季本「四書私存」(台湾 文史哲研究所,2012)

その他、つい最近発売された万廷言「万廷言集」(中華書局。理学叢書の一)や近刊らしい周汝登「周汝登集」(「浙江文叢」の一で、一種の全集)がある。また李材「正学堂稿」、許孚遠「敬和堂集」 、耿定向「耿天台先生文集」といった陽明学者、あるいはその共鳴者の文献が「儒蔵」(精華編)に収録されており、あるいは既刊、あるいは出版予定となっている。陽明のライバル(?)という意味では、羅欽順の「困知記」(中華書局。理学叢書の一)、「整庵先生存稿」(「儒蔵 精華編」)、 湛若水「湛甘泉先生文集」(「儒蔵 精華編」)も出ている。

ということで、一時代前に比べれば、飛躍的に陽明学の研究はやりやすくなっていると思うが、同時に、明(特に明末)というのは、異常なほど文献があることでも有名なので、例えば鄒東廓について調べようとすれば、彼とその一族の言葉を集めた「鄒氏学脉」のような語録集もあれば、孫の鄒徳涵の「鄒聚所先生文集」あたりも、可能なら閲読したい、というようなことにもあり、どうにも切りのない状態に陥る。

それなりの大学に在籍している場合は、続修四庫全書なり存目叢書なりを利用できれば、それでも閲読可能な範囲は飛躍的に広がるが、そこが明末の嫌なところで、両叢書(続修四庫全書はもともと陽明学関係者の著作はあまり収めていない)に収められていないものも多く、陽明学研究には悩みの種はつきない。

とまあ、今回はこんなところで。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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