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権衡209

二〇九 公會諸侯晉大夫盟于扈。左氏曰:「公後至,故不書所會。」非也。按經公與盟矣,何謂後會乎。杜云:「公後其會而及其盟。」此飾非之言爾。會盟同地,會所以為盟也。今及其盟,不得云後會。且盟重會輕,不當獨責其輕。又已稱公會諸侯矣,豈不及其會者乎。若實不及其會,而及其盟者,書公及諸侯晉大夫盟,乃可耳。左氏又曰:「凡會諸侯,不書所會,後也。」按:十五年會于扈,亦不序諸侯,寧復魯侯後會邪。未可以類推也。

「公会諸侯・晉大夫盟于扈」(公 諸侯・晉の大夫に会し扈に盟す)。左氏 曰く、「公 後れて至る、故に会する所を書せず」と。非なり。経を按ずるに公は盟に与かれり。何ぞ会に後ると謂ふか。杜 云ふ、「公 其の会に後れて其の盟に及ぶ」と。此れ非を飾るの言のみ。会盟は地を同じくすれば、会は盟を為す所以なり。今 其の盟に及べば、会に後ると云ふを得ず。且つ盟は重く会は軽ければ、当に独り其の軽きを責むべからず。又 已に「公 諸侯に会す」と称はば、豈に其の会に及ばざることあらんや。若し実に其の会に及ばずして其の盟に及ばば、「公 諸侯・晉の大夫と盟す」と書せば、乃ち可のみ。
左氏 又 曰ふ「凡そ諸侯に会し、会する所を書せざるは、後るればなり」と。按ずるに十五年に扈に会すも、亦た諸侯を序せざれば、寧ぞ復た魯侯 会に後るるか。未だ類を以て推すべからざるなり。

 「公会諸侯・晉大夫盟于扈」(公 諸侯・晉の大夫に会し扈に盟す)。左氏は「公 後れて至る、故に会する所を書せず」【注1】という。間違いである。経によれば、公は盟に参与しているのに、いかなる理由から会に後れたというのだろうか。杜は「公 其の会に後れて其の盟に及ぶ」という。これは左氏の間違いを誤魔化しているだけである。同じ場所で会と盟をおこなったのだから、会は盟を交わすためのものである。もし盟に間に合ったというのであれば、会に後れたとはいえないだろう。また盟は重く会は軽い。軽い方のことだけでもって責めることはできない。そればかりか既に経には「公 諸侯に会す」というのである。このどこが会に間に合わなかったといえるのか。もし本当に会には間に合わず盟には間に合ったのであれば、「公 諸侯・晉の大夫と盟す」と書けば、それだけでよいのである。
 左氏はまた「凡そ諸侯に会するに、会する所【注2】を書せざるは、後るればなり」という。さて十五年に扈に会したときも、諸侯を序列していないが、どうしてまた魯侯が会に後れたものと見なしえるだろうか【注3】。これでは類推によって経の意義を見いだすことはできない。


1 ややわかりにくいので、左氏および杜預の注(経の注)を引いておく。伝には「秋八月、斉侯・宋公・衛侯・鄭伯・許男・曹伯会晉趙盾、盟于扈。晉侯立故也。公後至、故不書所会。凡会諸侯、不書所会、後也。後至、不書其国、辟不敏也。」(秋八月、斉侯・宋公・衛侯・鄭伯・許男・曹伯 晉の趙盾に会し、扈に盟す。晉侯の立つが故なり。公 後れて至る、故に会する所を書せず。凡そ諸侯に会する、会する所を書せざるは、後るればなり。後れて至れば、其の国を書せざるは、不敏を辟くればなり。)とあり、また杜預の注(経注)には「不分別書会人、揔言諸侯・晉大夫盟者、公後会而及其盟」(分別して会する人を書せず、諸侯・晉の大夫と揔言するは、公 会に後れて其の盟に及べばなり)とある。
2 杜預の注には、「会する所を書せずとは、具さには列公侯及び卿・大夫を列せざるを謂ふ」とある。劉敞もこの意で解釈したのであろう。
3 文公十五年の伝には「於是有斉難、是以公不会」(是に於いて斉の難有り、是を以て公 会せず)とあり、魯公がもともと扈の会に参加していなかったことを記す。

参考
・正義……然れば則ち諸侯を揔称するは、皆 是れ諸侯を罪するなり。此れ諸侯を揔称し、会する所を称はざるは、公の後ると為すなり。伝 還た自ら凡例を釈して云ふ、「後れて至れば、其の国を書せざるは、不敏を辟くればなり」と。不敏は猶ほ不達のごとし。諸国 皆 在り、公 独り後れて至る、是れ公 事に達せざるなり。公の事に達せざるを辟け、公の罪を諱みて責を諸侯に帰するものなり。諸侯に功無しと言ふが若く然り。故に諸侯を貶して之を揔ずるは、公の恥を辟くる所以なり。
・劉氏伝……諸侯 何を以て序せず、大夫 何を以て名いはず。序するに足らざればなり。其れ序するに足らずとは奈何。或ひと曰ふ、蓋し宋を治めんと欲するも後 能はざればなりと。或ひと曰く、趙盾 君の位を戴き、以て諸侯に臨めば、之を悪むなりと。
・意林……「公 諸侯・晉の大夫に会し扈に盟す」。趙盾 既に内 専ら其の君を廃置し、而して又 外に諸侯に盟を強ふ。王者の法、当に受くべからざる所なり。故に斥けて之を遠ざく。陪臣 国命を執るは、漸く長ずべからずと曰ふが若きのみ。此れ其の為すを得る所に非ざるなり。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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