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風邪引きの戯言

土曜日以来,風邪をひいたようで,『東都事略』の李定と舒亶を終わるどころか,本を開くのも億劫な状況になってしまった。下を向くと鼻水が垂れるし,椅子に座ると熱でもあるのか腰が痛いしと,情けない話しだ。

その頭の痛い状態のとき,ふとむかしの不満を思い出したので,忘れないうちに書いておこう。

今の私にはほとんど無意味な言葉だが,昨今はグローバル化がすすんで,研究も英語が重視されている。本ブログでよく書くような中国史方面の場合は,中国語と英語が必要で,それ以外にも違う言語ができた方がいいし,できなければならないという。

私個人としては,確かに英語で論文を書いた方が人に読まれる機会が多い。折角価値のある研究をしても,世界のリンクから外れてしまってはもったいない。だから英語で書いて,より多くの人の目に止まるようにすべきだというのは,少なくとも間違った議論ではない。また中国語というのは,程度の差はあれ,中国史を扱う場合に必要なのだから,これが必要だというのは,今に始まったことではない。第四以下の外国語も,できるにこしたことはない。これも正論だと思う。

しかし何かしら不満があった。例えばグローバル化で英語が必要なら,なぜ第四以下の言語を必要とするのか。これは第四以下の諸国でなされる研究に価値があるからだろう。私はここに疑問を感じたのだ。

何度も言うが,日本人が英語で論文を書くことに全く反対ではない。しかし仮に日本の研究に極めて価値があり,他の言語を使う人間が英語と中国語の外に日本語が必要だと思えば,日本語を勉強せざるを得ないだろうし,日本の論文(日本語だとは限らない)を参考にする必要が生まれるだろう。しかし残念なことに,日本語の文献はもう読まなくてよいという意見は,私が勉強していたときから日増しに強くなっていた。それは日本人すら薄々は感じていた。多分,今ではそれ以上だろう。

何故だろうか。答えは簡単で,日本に売る物がなくなったのだ。常識で考えても明らかなことだが,欧米や中国の研究を日本に紹介する価値があるのは,多くの人がそれらの言語を収得していないときだけである。これらの研究は,英語圏や中国ではほとんど意味がない。せいぜい他国で自国の研究がどう評価されているのかを知る程度の価値しかないが,日本の研究に価値がなければ,そもそも日本の研究状況など相手にはしないだろう。では日本国内はどうかと言えば,これも需要は日々減退していかざるを得ない。それほど多くの研究者が英語も中国語もできるようになれば,一々それらの言語の説明などいらない。必要なのは,研究機関の設備(本の収蔵)だけである。

では欧米の研究や中国の研究を模倣した研究はどうか。これはもしかすると日本ではある程度の価値があるかも知れない。なにせ研究者というのは,自分の研究の前に,価値観として欧米イズム(こんな言葉はないが)を自分にたたき込み,これを基礎に生活しているからである。しかしこのような模倣研究は,欧米や中国では何の存在価値もない。

これはあたりまえのことである。模倣研究という言葉が既に示すように,模倣研究が模倣するその対称,すなわち研究の本場は欧米と中国なのである。だれが好きこのんで模倣者の研究を読むために,面倒な日本語を一々収得するのだ。自分のことを考えても明らかだと思う。欧米の研究を模倣しただけの中国の研究が出ても,そんな中国書籍を読もうとは思わないだろう。わずかに優れたものを拝見すればそれで事足りるのだ。もし難解な言語の研究書なら,物好きに翻訳してもらえばいい。いかに翻訳が難しくとも,これくらいの労力なら折れないではない。

要するに日本の研究が英語や中国の研究を模倣する必要があるのは,日本に売り物が無くなったからである。欧米からも中国からも,日本の研究が必要とされなくなったからである。だからもし日本の研究を意義あるものにしたければ,それは単に外国語の習得とかいう程度の問題ではない。日本の研究そのものに価値を附与させなければならないだろう。その場合の価値は,明らかに思考上でも経験上でも劣勢に立つ模倣の研究では生み出せないのではないか。(特殊な例外は除くが)ならばどうしても日本の研究の特化や尖鋭化は避けられず,そのような特化された中に,どうしても世界が日本の研究に注目せざるを得ない研究を出すしかない。

英語は結構なことだ。特に世界中で英語が利用されている現在,英語で自己の意見を発表するのは最も有効だろう。だが如何に英語で論文を書いても,中味がなければゴミである。価値ある研究成果でなければ,どれほど美しい英語で論文を書いても,誰も読みはしないのである。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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