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四庫提要(春秋類)017

追記(2009/03/15):以下の翻訳はこちらのページ(別館:公孫樹内)に訳し直しました。

劉敞『春秋伝説例』1巻

○永楽大典本

宋の劉敞の撰。敞の行状および墓誌を調べると,いずれも『春秋説例』二巻とする。しかし陳振孫の『書録解題』は一巻としている。蓋し流伝の際に集散分合され,あれこれ違うものが生れたのだろう。『宋史』芸文志に至っては,「敞の『説例』十一巻」などと言っているが,筆写の間に「十」の字を間違って加えたものか,もしくは十一篇を十一巻と勘違いしたのだろう。

敞の『春秋伝』『権衡』『意林』の三書は『通志堂経解』に刊板がある。しかし『文権』と『説例』の二書はわずかに書名を残すのみで,書物そのものは全く残っていない。このたび『永楽大典』を調べたところ,なお『説例』の文章を幾条か引用していた。そこで謹んで〔『永楽大典』の〕方々から寄せ集め,一巻の本にまとめあげた。

『書録解題』には「『説例』は全四十九条」とあるが,このたび収集し得たのはわずか二十五条のみで,〔全体の〕半分を得られたにすぎず,しかも〔集めたものは〕断簡零句が多く,〔現存各条の〕すべてが完全な文章というわけではない。

また公即位例と例使・來例・師行例・大夫奔例・殺大夫例・弗不例の七条こそ原文の標題を残すとはいえ,それ以外は『説例』本文はあっても標題は残っていない。今次の編修では,本文を精査し,現存諸条の流儀にならい,本書の考訂を行った。

また『春秋説例』と記録する書物が多い中,『永楽大典』だけは〔『春秋伝説例』と〕「伝」の字を加えている。本書の内容は,〔春秋の〕事柄を並べて〔その意味を〕論述したもので,まさしく敞の『春秋伝』の褒貶の主旨を語ったものである。『永楽大典』の記載は宋刻本の原姿を残すものと言えるだろう。このたびの編修では『永楽大典』に従うことにした。

敞の春秋学は新解釈の提示を好み,文体は公羊伝と穀梁伝を模倣することが多い。どの著書もみなそうなのだが,本編は特に簡潔古風である。ただ大夫帥師例の一条で,「魯に三軍があってはならぬ」といい,そのために『周礼』〔の関係部分〕を後学の附会によるものだと言っているが,これは少しく偏見に渉るものである。(*1)また宣公十八年の経文の「歸父還自晉(帰父 晉より還る)」に対して,敞の『春秋伝』は左氏伝〔の経文〕に従って「至笙(笙に至る)」(*2)とするのに,本編では公羊伝と穀梁伝〔の経文〕に従って「至檉(檉に至る)」としている。これなどは大変な自己矛盾である。(*3)しかしそれ以外は概ね精確で,経文の主旨を明らかにしたものが多い。

それにしても,宋元時代の経学者に〔本書を〕引用するものは誰もいない。宋代以後,すでに稀覯本となっていたのだろう。本編は幸いにも概略がまだ残っているのだから,まことに春秋学者の宝とすべきものである。

『四庫全書総目提要』巻26



(*)永楽大典本:……説明しようと思ったが,時間がかかるので今回は止めておく。ただ永楽大典本とあるのは,『永楽大典』という書物から引用部分を孫引きしてきたもの(輯佚という)と思ってもらえばいい。宋代の春秋諸文献と『永楽大典』には切っても切れぬ縁があるのだが,これはまたいずれ機会があれば書いてみよう。(多分,機会は永遠に来ないと思ふ)
(*1)以下,独り言。四庫本『説例』の大夫帥師例には四庫官の案語が長々と引かれており,劉敞がいかに自己矛盾を犯しているか,そしてどれほど間違っているか指摘されてある。それにしても費誓とか『周礼』の話しはともかく,本書『説例』の師行例を持ち出して自己矛盾を説くあたりは如何なものだろうか。劉敞の『春秋伝』には大夫帥師例に関係する伝文が二箇所存在する。恐らく四庫官は最初の一条しか確認していないのだろうが,残念ながらそれだけでは劉敞の説を破ることにはならないのだ。もちろん四庫官の前提と劉敞の前提は異なるので,そもそも議論になどならないのだが。
(*2)至笙・至檉:笙も檉も地名。同じ経文でも,三伝によって文字が異なる場合がある。本条もその一つ。
(*3)念のため解説しておくと,劉敞の用いた『春秋伝』の経文は,三伝の経文を混在させたものであった。随って,『春秋伝』の義例集である本書『説例』は,当然ながら『春秋伝』で用いた經文が用いられていなければならない。ところが,『春秋伝』には左氏伝の経文を用いているのに,『説例』では公羊・穀梁の経文を用いている。これは大変な失態だ,というのである。確かに迂闊なミスではあるが,それほど致命的なものでないのが救いではある。ちなみに義例の意味が分からない人は,身近にいる春秋学者に聞いてみよう!

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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