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四庫提要(春秋類2)022

追記(2009/03/15):以下の翻訳はこちらのページ(別館:公孫樹内)に訳し直しました。

崔子方『春秋本例』20巻

○内府蔵本

宋の崔子方の撰。本書の主旨はこうである。――〔春秋は〕聖人の記したものである。それは「年」を根本に掲げ,「時」(四時=四季)によって区別を設け,日月を例(規則)としたものである。そして日月の例はその根本である。だから〔本書を〕「本例」と名付けるのである,と。〔本書は〕全て十一門あるが,各門はすべて日月時に分けられ,さらにその中に著例と変例の区分がある。各経文はその各々に配属され,自然と秩序だつよう作られている。

公羊と穀梁の二伝は,日月の例を中心に据えているが,確かにそこには穿鑿滅裂の弊害がある。しかし経文の「公子益師 卒す」(*1)に対し,左氏伝は「公(隠公)が〔公子益師の〕小斂に参与しなかったので,〔経文に〕日を記さなかったのだ」(*2)とある。ならば日月を例(書法)とするのは,既に二伝が作られる以前からあったのだ。〔公羊と穀梁の〕二伝が作られたときは,聖人(孔子)の生きた時代からまだ遠く離れていなかった。だからきっと伝授されたものがあったのだろう。ただ〔春秋経に示された〕予奪筆削(*3)は,その指し示すところ広大深厚であり,日月の例はただその中の一つにすぎない。だから二家の所説(日月の例)にはまま〔聖人の微旨に〕合致したところもあるが,これを押し広げて全経文を律するとなると,支離滅裂に陥り,すべてを整合的に処理しきれなくなる。どうしても処理しきれなくなると,あれこれ手を加えて変例が生まれたのだ。これは日月の例が間違っているのではなく,すべてを日月の例で処理しようとしたのが間違っていたのだ。例えば,易には互体(*4)というものがあり,確かに象を導く一つの方法である。だから繋辞伝には「物を雑(まじ)え徳を撰(えら)び,是と非とを辨ずれば,則ち其の中爻に非ざれば備わらず」(*5)とある。しかし一卦ごとに互体によって象を求めるというなら,強引につじつまを合わせて穿鑿に陥り,結局は整合的に解釈できなくなる。王弼は易に注を施して互体を一掃し,啖助・趙匡は春秋を説いて多くの「例」を一掃して無くしてしまった。深く思うところあってそうしたのであろう。(*6)

子方のこの書に対して,陳振孫の『書録解題』は「その学説は三伝の是非を正すことにありながら,かえって〔三伝の誤った学説である〕日月の例を根本としている。これは同じ轍を踏みながらそれを悟らぬものである」と言うが,頗る適切な論評である。しかし伝来の学説に依拠したことは,墨守の嫌いがあるとはいえ,要するに放言高論を好み,恣ままに憶説を吐いて聖経(春秋経)を乱すものよりは,遙かに優れている。春秋家には古代より日月の例を重んずる一家が存在したのだから,いま直ちに廃止するわけにはいかない。

『四庫全書総目提要』巻27


(*1)隠公元年の経文。
(*2)日月の例の規定に従うと,「日+公子益師卒」となるはずである。例えば甲子の日に死んだのなら,「甲子,公子益師卒」となるはずである。ところが経文には「公子益師卒」とあり,日が記されていない。『左氏傳』によると,これは隠公が公子益師の小斂(喪礼の一つ)に与らなかったからだという。
(*3)予奪筆削:春秋学の用語の一つ。魯の国史に筆削を加えることで,春秋時代の人間や物事に対して褒貶を発したとするもの。
(*4)互体:一卦を構成する六爻の中,中間の三つの爻を取って象を求めること。
(*5)難読のところだが,要するに,易の大伝といわれる繋辞伝(下)に,互体を説明する文言があるということが書かれてある。
(*6)本段落,書前提要と主旨は同じだが論述は異なる。書前提要に云う,「春秋の公羊と穀梁の二伝は,日月の例を中心に据えているが,確かにそこには穿鑿滅裂の弊害がある。しかし二伝が作られたとき,聖人の生きた時代からまだ近く,代々授受するところがあった。その学説にはきっと伝授されるところがあったのだろう。啖助・趙匡・陸淳らが例を廃して経文を解釈するようになってから,漢晉以来の師説はすべて捨てられたが,これもまた憶説で経文を解釈する弊害を生むことになった」。

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