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『通志堂経解』を比べてみる?

ここ一週間,諸般の事情で『通志堂経解』のページをめくっている。
ページをめくるといっても,通常このような時に用いられる意味での「めくる」=「読む」ではなく,文字通りめくっているだけ。

通志堂経解は康煕年間に発刊された原本と同治年間に出版された重刊本とがある。他にも新刊経解という名で同治本が通行していたりする。この中,影印出版されているのは同治本で,40冊のものと16冊のものがあるが,現在でも売られているのは全16冊の方である。

通志堂経解は十三経注疏,正続清経解(+清人十三経注疏)とならぶ経学の一大叢書なわけだが,他のものに比べてきわめて人気がない。理由はいろいろあるだろうが,経学の中心時代は漢と清ということになっているので,宋元時代の経解をあつめた通志堂経解はあまり価値がないというのが第一の理由だろうと思う。そして第二の理由が,宋元時代の主要経解書が収録されていないということだろうか。

第一の理由は研究のはやりによるものだから,時代とともに盛衰があるのは仕方ない。しかし主要著作が収録されていないのはいただけないと思われるだろう。しかしそれも仕方のないことで,通志堂経解が出版されたとき,ありふれた本は省略し,当時なんとか現存していた稀覯本で,しかも首尾完具したものを収録したのである。だから宋元(+明初)の有名な経解である蘇軾・蘇轍の経解とか,『大全』とかは当然省かれたのである。まぁ,『大全』を収録されても困るというのはあるが,それは言うまい。

ちなみに,通志堂経解は清朝の貴族・納蘭性徳が編集したことになっているが,実際はそのお師匠さんの徐乾學の手になるもので,徐さんの図書館(伝是楼)に集められていたものを出版したものである。徐さんの売名行為だとかいろいろいわれるが,功績のない君子より良いことをしているのは間違いあるまい。

と,話が脱線してしまったが,最近ひょんなことから40冊本と16冊本とを見比べる機会があったので,ここ一週間ほど時間のあるときに両方のページをめくって比べてみた。ちなみに40冊本は二つの出版社から発売されている。両方とも実物を見たことはあるが,残念ながら比べる機会がなかったので,二つに違いがあるかどうかは不明だ。


さて,調べる前は16冊本と40冊本は全く同じものだと思っていたが,どうやら全く無関係の本らしいことが分かった。なんで無関係かというと,印刷の状態とは別の次元で,文字の写りに差があるのが第一点,片方に全く欠落した部分が存在するのが第二点,最後に40冊本の目録は「新経解」だが,16冊本の目録は「経解」になっている。16冊本は同治本の通志堂経解を影印したのだろうが,40冊本は新刊経解でも影印したのだろうか?全部の版本を一堂に会して調べたわけではないので分からないが。

もちろん16冊も40冊も同じ通志堂経解だから基本的には同じなんだが,まれに......というか予想以上に頻繁に序跋類の異同が多い。例えば,16冊には黄仲炎の『春秋通説』の自序が入っているが,40冊ではなぜかカットされている。見せてもらった40冊本のミスかと思ったが,ページが連続していたのでもともとこうなっていたのだろう。もっとも大きい違いには,16冊本には附されている董楷の『周易傳義附録』の巻首が,40冊本は一括して省略されている。

こういうと40冊本の方が劣っているように思うかもしれないが,そう簡単には断定できない。40冊本にある序跋が16冊本にないというのがチラチラ存在するからである。他にも16冊本は欄外の注文を勝手に省略しているなどの問題点がある。

どちらにせよ両方ともむかしの本だから乱丁はおびただしく存在するが,乱丁はページが狂っているだけだから,通読に面倒なだけで致命的なものではない。問題なのは落丁で,これがあるとその部分が全く読めないので非常にこまる。

というわけで,案外比べてみると違うもんだというのが分かった。40冊も16冊も同治本の系統なので,あまり洋装本どうしを比べることもなかったが,今回は勉強になった。……ま,いまさらこんな勉強してもどうにもならん身分なのだが。


ちなみに,もし16冊本の購入を考えており,しかも16冊本を見たことがない人は,買う前に16冊本を見ておいた方がいい。たぶんこれを買うような人は学生さん以上だろうから,大学の相互利用とかを利用して,一冊だけ取り寄せてみるといい。どの冊でも似たようなものだが,個人的には11冊を勧める。ここには『春秋諸傳會通』と『春秋集傳釈義』が収録されており,割注がふんだんに掲載されている。これを見て十分活用できると思う人は,16冊本を使いこなせるだろう。

簡単に言うと,16冊本は,線装本から欄外と版心を削除し,本文を接続し,極度に縮小したもので,1頁3段の構成。一字あたり大きくて5ミリ,小さくて3ミリ。割注は推してはかるべし。ましてや全ページにわたって割注の場合どうなることか……ただ虫眼鏡で見れば何とか見えるのが面白い。予想以上に文字はつぶれていない。

ちなみに40冊本は普通の1/4縮刷。もともとの字体が字体なので,あまり見やすくないが,これは原本の責任だから仕方がない。ところどころ写りの悪いところあり。もう一つ,それほどではないが文字がつぶれているところもある。16冊本より読みやすいが,予想以上に読みにくいところも多い。

......誰に向かって書いてるんだか。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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