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四庫提要(春秋類2)038

追記(2009/03/15):以下の翻訳はこちらのページ(別館:公孫樹内)に訳し直しました。

程公説『春秋分紀』90巻

○両淮馬裕家蔵本

宋の程公説の撰。公説,字は伯剛,号は克斎。丹稜の人で,宣化県に住んでいた。年二十五で科挙に合格し,卭州教授となった。呉曦が叛乱を起こしたときには,官職を棄て,自身の春秋の著作を抱えて安固山に逃げ込み,書物を完成させてから死んだ。享年わずか三十七。本書巻頭に開禧乙丑の自序がある。淳祐三年に弟の公許が宜春で刊行した。

〔本書の構成は〕年表九巻,世譜七巻,名譜二巻,書二十六巻,周天王事二巻,魯事六巻,大国世本二十六巻,次国二巻,小国七巻,附録三巻となっている。

「年表」は,まず周から列国を並べ〔て『史記』の表にまねた年表を作り〕,そして〔周室の〕后や夫人以下の人々と,〔列国の〕執政にあった卿についても各々一篇を設けている(*1)。「世譜」は,王族・公族から〔各国の〕諸臣まで〔の系譜を作っており〕,それらは国ごとに一篇を設けている(*2)。魯については,婦人の名と仲尼の弟子の名を増補している(*3)。また燕については,目録はあるが本文はない。恐らくもとから欠けていたのだろう。(*4)「名譜」は,春秋に掲載された全ての人物を五種類に分けて記したものである。(*5)「書」は,暦法・天文・五行・疆理(境域)・礼楽・征伐・職官の七門が設けられてある(*6)。そして〔最後に世本として〕周・魯および列国の世系表(*7)から次国・小国・附録〔の夷狄〕に及んでいる(*8)。これらはすべて春秋経と左氏伝の記述に従って分類したもので,条理分明,叙述は典雅で,引用学説と公説の序論(*9)もみな純正である。誠に春秋を読むための百科事典と言えるだろう。

明朝以来,本書はほとんど世間に出回らず,そのため朱彝尊の『経義考』にも未見とされている。〔本朝になって〕顧棟高は『春秋大事表』を作ったが,その体裁は公説と類似するところが多い。しかし棟高は他人の著書を剽窃する人間ではないから,彼も本書を見なかったのだろう。この本は揚州の馬曰璐の蔵書から出たもので,『通考』に記載された巻数と合致している。また本文中の宋帝の諱は闕筆(*10)されている。恐らく宋の刊本を影抄したものであろう。劉光祖は公説の墓誌を書き(*11),〔公説には本書の〕他にも『左氏始終』三十六巻,『通例』二十巻,『比事』十巻があったと伝えている。恐らく懸命に左氏伝を研究した学者なのだろう。

宋〔の春秋学〕は孫復より以後,みな憶説でもって春秋を解釈し,〔三伝注疏に見られる〕旧来の学説が自分にとって邪魔であると憎んでは,三伝の義例をすべて排斥してしまい,さらに左氏記載の証拠は余りに明白で,都合よく是非を顛倒させ,己の放言に任せられないといって憎悪しては,左氏の事柄もすべて排除してしまった。これを治獄(*12)に喩えるなら,必死になって事件の証拠を握りつぶし,証拠の口を封じた上で,かくしてようやく〔事件の〕是非曲直は判断可能となり,争論もなくなるというようなものである。(*13)公説は異説が跋扈する中,ひとり古文献を研究し,〔左伝の〕本末や源流を明らかにすることで,虚偽の弁舌を止めさせたのである。(*14)春秋に功あるものというべきであろう。

『四庫全書総目提要』巻27



(*1)現物を見ないと分かり難いが,『春秋分記』を見ると,まず巻1~4まで「周天王内魯外諸侯年表」と題し,『史記』の十二諸侯年表のようなものを作り,さらに巻5には「王后年表」などの周室后妃の年表を置き,次いで各国の卿の年表(魯卿年表,晉卿年表など)を設けている。巻1~巻9の全9巻。
(*2)内容は王子王族諸氏世譜,内魯公子公族諸氏世譜,および晉公子公族諸氏世譜以下の諸侯の世譜,世譜叙篇考異上下。巻10~巻16の全5巻。
(*3)巻10にある魯の世譜(内魯公子公族諸氏世譜)に「婦人名譜附」および「孔子弟子名譜附」があることを指す。
(*4)四庫本には本書の目録は付されていない。提要のいう目録が何を指すかは不詳。本文に燕の世譜はない。
(*5)列國君臣名譜,外夫人妾名譜や古人物名譜などの一覧表が記述されている。巻17と巻18の全2巻。
(*6)暦書は巻19~巻22,天文書は巻23,五行書は巻24,疆理書巻25~巻35,礼楽書巻36~巻38,征伐書巻39~巻40,職官書巻41~巻44。計26巻。
(*7)周および列国の世本は巻45~巻78まで。ここでいう世本は各国君主の経歴のようなもの。
(*8)次国は巻79~巻80,小国は巻81~巻87,付録は巻88~巻90。なお附録というのは四夷附録という小題に見られるように,中華の国家と見なされない夷狄の国を指す。
(*9)本書には北宋以前の諸学説がいくつか引用される他,各分類の冒頭には程公説じしんが序論を記している。提要のいう引用月説と程公説の序論はこれを指す。
(*10)闕筆,諱を避けるために該当する漢字の一部を省略すること。漢字コードにない文字なので(多分),PC上では表示できない。画像のアップは面倒なので考えていない。
(*11)本書冒頭に附されてある。
(*12)現在の刑事事件に似たようなもの。
(*13)原文「譬諸治獄,務燬案牘之文,滅佐證之口,而是非曲直,乃可惟所斷而莫之爭也。」
(*14)程公説が左氏伝研究に尽力し,春秋学に功績のあったことは認めるに吝かではないが,程公説の墓誌銘には,「平生於春秋一書,究之反覆不厭,有『春秋分記』九十卷,『左氏始終』三十六卷,『通例』二十卷,『比事』十卷,勤矣哉,而未嘗止也。又取諸儒講解鈎纂之,名曰『精義』。病中猶不去手書,未及成而卒。伯剛性恬潔,居無惰容,得伊洛諸書服膺焉,不臻其極不已。有『語録』二卷,『士訓』一卷,詩文二十卷,『程氏大宗譜』十二卷。此其為志何如也。」とあり,程公説が単なる左傳学者でなかったことを説明している。特に『精義』と伊洛の学説を奉じていたとの指摘は程公説の学問を考える上で示唆を与えてくれる。まあ,どうでもいいが。

*むかし作った目録があったので,巻数まで記してみた。

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