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四庫提要(春秋類2)044

追記(2009/03/15):以下の翻訳はこちらのページ(別館:公孫樹内)に訳し直しました。

洪咨夔『春秋説』30巻

○永楽大典本

宋の洪咨夔の撰。咨夔,字は舜兪,於潜の人。端明殿学士にまでなった。(*1)生涯は『宋史』本伝に記されている。本書には咨夔の自序があり,「考功を罷めて家に帰り,門を閉ざして深く内省し,『春秋説』を作った」と言っている。その本伝には,「理宗の初め,咨夔は考功員外であったとき,史彌遠に逆らい,さらに李全は必ずや国の禍になると批判し,李知孝と梁成大に弾劾された。そのため俸禄を削られ,家に引きこもること七年に及んだ」(*2)とある。本書は恐らくこの時に作られたものだろう。また本伝は「咨夔の著書に『両漢詔令擥抄』『春秋説』などがあった」というだけで,その巻数を記していない。朱彝尊の『経義考』は呉任臣の発言を引いて「三巻」としている。しかし『永楽大典』には呉潜の手になる咨夔の行状が残っており(*3),そこには『春秋説』は三十巻だったとある。本書は紙幅も多く,決して三巻にまとめられるものではない。潜は咨夔と同官で,互いに親密であった。咨夔の草稿を見たのだろう。任臣の発言は,後世の誤伝であろう。

本書は議論明白,事態の推移を見極め,事件の表裏を推論したもので,前人未踏の発言が多い。例えば,「公子友 陳に如く」に対しては,季氏が魯で専権を握った発端を記したのだと言い(*4),「晉侯 曹伯負芻を執う」に対しては,曹のために君を立てなかったのは,後日に負芻を帰国させようとの思惑からであると言い(*5),「昌間に大蒐す」に対しては,季氏がその権威を民衆に見せつけ,魯国の民を脅かしたのだと言う(*6)。これらはどれも筆削の微意を得たものである。しかし,慶父が出奔しことを,季友が故意に放免したのだと言い(*7),『劉子・単子 王猛を以て王城に入る』を君を蔑みしたものだと見なした(*8)のは大変な誤謬である。しかし短所を棄てて長所を取るならば,その卓然と後世に伝うべきところを消し去ることは出来ない。

現在,『両漢詔令』などの著書は散佚してしまい,本書も世上に流伝がない。ただ『永楽大典』にのみまだ遺文が残っている。そこで謹んで収集してまとめあげ,誤植を訂正し,三十巻に分けて本来の形にもどした。春秋経文は三伝に各々異同がある。現在,咨夔の原本の経文はすでに明らかにし得ないが,その所説から推測するならば,概ね左氏の経文を利用し,まま公羊と穀梁の経文を用いていたことが分かる。そこでこの度の編集に於いては,〔疑念のある場所には〕経文の下に「案」の字を記して識語を附すことにした。また僖公十四年秋から三十三年,襄公十六年夏から三十一年までは,『永楽大典』の原本が失われている。また他者の経解にも全く本書の引用がなく,佚文を集めるすべがない。そこでしばらくこれを欠いたままにしておいた。

『四庫全書総目提要』巻27



(*1)原文は「歴官端明殿學士」とあるが,端明殿学士は館職である。『宋史』本伝には「擢給事中,史嵩之入相,召赴闕下,進刑部尚書,拜翰林學士・知制誥。求去愈力,加端明殿學士,卒」とある。
(*2)『宋史』の言葉を括弧内に入れたが,原文は本伝を意訳したもの。『宋史』本伝には「還朝,為秘書郎,遷金部員外郎。會詔求直言,慨然曰……。史彌遠讀至『濟王之死,非陛下本心』,大恚,擲于地。轉考功員外郎。轉對,復言李全必為國患。於是臺諫李知孝・梁成大交論,鐫二秩。讀書故山,七年而彌遠死,帝親政五日,即以禮部員外郎召,入見,乞養英明之氣,及論君子小人之分」とある。
(*3)行状の所在は不明。『宋人伝記資料索引』には見えない。
(*4)莊25年冬公子友如陳条。
(*5)成15年晉侯執曹伯歸于京師条。
(*6)昭22年大蒐于昌間条。
(*7)閔2年公子慶父出奔莒条。四庫官は批判的だが,議論そのものは面白い。基本的なテーマは「慶父弑般而如齊,弑閔而奔莒。奔,窘于如矣。而不失其為公子,志逸賊也。天下之惡,無黨惡者,則惡不自動。天下之姦,無保姦者,則姦不自容。故討惡必討黨惡,誅姦必誅保姦」というもの。
(*8)昭22年劉子單子以王猛居于皇秋劉子單子以王猛入于王城冬十月王子猛卒条。

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