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『人さまざま』

人さまざま (岩波文庫 青 609-1)人さまざま (岩波文庫 青 609-1)
(2003/04/16)
テオプラストス

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むかし大学の学部生だったころ,本書を薦められて読もうと思いながら,在庫切れや興味の濃淡が重なり,結局読まずじまいだったのだが,最近ひょんなことからこれを読む機会を得た。

本書は別名「性格論」と名付けられるように,30に及ぶ人間の性格を定義づけたもののようである。型にはまったように「○○の性格は□□と定義づけられる」から始まり,「その具体例は△△である」と言って,具体的な例が列挙されている。

1981年の初版のわりに古めの文体ではあったが,軽妙な筆致で訳されており,それなりに面白く読めた。内容的にもやや皮肉めいた人間観察が多く,ちょっと笑えるところもあった。しかし総じて単調な話の繰り返しで,読んでいて少しく退屈になった。本書全体の分量は少なく,各性格の具体例も決して多くはなのだが。

とはいえ,私の場合は読むのが遅すぎたようだ。若い頃に読めばもっとおもしろかったのかも知れない。しかし人間生きておれば,大なり小なり,この本に出て来る人間性質に気づかされる。純真無垢な人間ならいざしらず,いい加減歳をとった人間が,あらためて人間の性格について論じられても,「まぁ,そうだろうな」で終わってしまう。

第一,そんな人間の性格が分かっても,結局それだけのはなしだと言ってしまえばそれまでなのだ。欠点ある性格の人間がいるからといって,それを矯正することなどできやしない。それは自分に対しても同じことで,自分の欠点は分かっていてもなおせない。直してもまた別の欠点がでてくるだけで,永遠にそれの繰り返しなのだ。

もちろん本書の書かれた「歴史的背景」なるものはあるだろうし,ある種の人間にはそれがすごく大切なことなのだろう。しかしまことに残念なことに,私は哲学史専攻の学生ではないので,そんな歴史的背景に興味はない。どんな歴史的背景があろうと,今の私に役立たなければ,それまでのはなしだ。

本は若い頃に読めと言われるが,確かにその通りだろう。もし私が若い頃にこの本を読み,妙な感銘を受けておれば,また少しく感想も変わっていただろう。さして感動しないものになり果てていても,往年の感動はなかなか消しがたい。その消しがたい感動は,年を取った人間にまた別個の感慨を与えてくれる。

まあそんなことは今から言っても仕方のないことだし,仕方のないことは考えても無益だ。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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