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存目の残りの部分をなんとかしたい

どうも私は目的を立てないと継続してものを書けないようなので,とりあえず気になっていた『四庫提要』の存目部分(前に紹介した中唐から元朝まで)を訳しておくことにしました。とはいえこの時代の存目は少ないので,あと6~7種ほど残っているだけです。それが終われば,提要未記載の現存書目を紹介してみたいと思います。

実は勉強がてら春秋を冒頭から読んで行こうかと思っていたのですが,宋元時代の著書を完全に説明できていなかったので,それを説明し終えてから読みすすめることにしました。春秋を通読するという意味では,去年の正月頃は『黄氏日抄』を読んでいたので,その続きでもいいかなと思いましたが,少々迷っています。

『黄氏日抄』は立派な本ですが,少し立場上偏りがあって,紹介すべくして紹介されていない学説が多いのが難点です。もう少し対立する学説を紹介しながら自説を展開してもらえるとよかったのですが,ちょっと自説に都合のいい学説だけを紹介した嫌いがありますね。だから通読しても,あれだけでは宋代の学説を見渡したことにならないのです。

元朝になると多数の学説を押さえた書物は沢山でてきます。程端學の『本義』『或問』『辨疑』を筆頭に,鄭玉の『闕疑』も趙汸の『集解』もそうです。ただ趙汸や鄭玉は独自の春秋理論をもっているので,これの偏り具合は『日抄』の比ではありませんし,程端學は少しく見識に欠けるところがあるのと,あまりに分量が多すぎるのが難点です。ただダラダラと学説を見ていくだけなら程端學を利用するのが一番便利ですが,なにぶん彼の学説には面白みがないので,読んでいて頗る退屈になります。

紹介がてら上の三人の特徴を書いて見ましょう。例えば鄭玉の『闕疑』は程朱学を非常に重んじ,恐らく李明復の『集義』を参照したのでしょう,程頤とその門人たちの学説がふんだんに引用されています。ちなみに『集義』は程子とその一門(私淑者を含む)の学説を集大成したものです。

この鄭玉の友人の趙汸は極めて独自色の強い学者でした。元朝の江南地方では程朱学(程子と朱子の学問)が栄えるとともに,地元の著名な学者(歐陽修や劉敞)が盛んに宣伝されていたのですが,趙汸は彼等に敬意を表しつつも,左氏伝に強い興味を示し,左氏伝による春秋の解釈を提唱します。彼によると春秋の理解は左氏伝を中心に行うべきで,それを重視した歴代の学者,杜預・孔穎達(正義)・陳傅良の三者を特に重んじました。彼は春秋に対する正面からの解釈書である『集解』の前提として,『属辞』と『左氏補注』を著しています。ですから趙汸の春秋学を理解するには,まず『属辞』と『左氏補注』という二つの書物を理解してかかる必要が生まれるのです。ただ彼には『金鎖匙』『師説』という短い書物があり,彼の学説がコンパクトにまとめられているので,まずはその二つで彼の経学説の精粋を探っておくのが便利です。結論だけいいますと,趙汸の学説は解釈そのものに特徴はなく,左氏伝を利用してどのように春秋を解釈するかという解釈の方法,つまり証明方法を必死に解明したものと思われます。

最後に程端學ですが,彼はなんというか,資料集を必死に作ったような人です。春秋の解釈書である『本義』,疑問の箇所を列挙した『或問』,三伝の駁正を行った『辨疑』,どの書物をとっても膨大な先行学説を引き,それを吟味し,自説を導いております。先行学説とその吟味による自説の展開はどの学問にもつきまとうものですが,程端學になるとちょっと度が過ぎており,彼の目耳に入った学説を片っ端から集めてきたというような感じになっています。お陰で現在既に失われた学説が程端學の書物によって分かる場合もあるのですが,読むとなるとちょっと......正直にいうとまどろっこしいのです。もっとも,巨大な資料集という意味では,清末の張應昌に『属辞辨例編』というのがあって,これまた程端學すら小物に見えるような書物をつくっています。(ちなみに程端學は黄震の『日抄』と張洽の『集注』を孫引きしているので引用文には注意が必要です)

とまあ,元朝の学者にもいろいろ癖はあります。他にも兪皐の『釈義大成』は三伝+胡伝,李廉の『会通』は三伝+胡伝+張洽+陳傅良,家鉉翁の『詳説』は自説の展開が多すぎる等々,最適というほどのものはありません。彼等ならば,学説の広さから言えば程端學の方が向いていますし,学説の立派さからいえば呂祖謙の『集解』や『黄氏日抄』の方が向いています。ちなみに張洽の『集注』は南宋中頃の名著らしき扱いを受けていますが,実態は呂祖謙の『集解』を写しただけのような書物なので(これは大なり小なり南宋末から元朝の著書に言えることですが),あまり気が進みません。

そうなるとやはり黄震かなぁという気もしてきますが,はてさてどうしたものでしょうか。もう少し時間があるので,ちょっと考えて見ましょう。自分で勝手に解釈するというのもありますが,これは最悪な感じがします。なにせ私の学力は上に悪口を書いた学者より数十段下なので。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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