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四庫提要(春秋存目・宋元08)

追記(2009/03/15):以下の翻訳はこちらのページ(別館:公孫樹内)に訳し直しました。

楊維『春秋合題著説』3巻

○永楽大典本

元の楊維の撰。維,字は廉夫,号は鉄崖,山陰の人。泰定四年の進士。はじめ天台尹となり,銭清場塩司令に改められ,建徳総管府推官に転じ,江西儒学提挙に抜擢されたが,上京する前に兵乱に遭遇した。そのためこれ以上の任官を諦め,超俗の生活を送った。明朝が成立すると,礼楽の書を編纂すべく招集されたが,すぐに老齢と病気を理由に帰郷した。その生涯は『明史』文苑伝に記されている。

宋の『礼部貢挙条式』の〔北宋の〕崇寧貢挙令によると,春秋の経義は三伝の解釈部分から出題することが許されていた。これは靖康元年に経文のみから出題するよう改められたが,〔南宋の〕紹興五年の礼部の上奏に「春秋経文は文字が少なく,経書の中でも簡略な部類に入ります。そのため〔長らく試験を行っていると,〕試験題目の範囲が簡単に行き渡ってしまいます。(*1)ですから往々にして地方試験での試験題目が重複し,また試験ごとに〔過去の問題と〕重複しております。今後は三伝の解釈部分から出題することを許して頂きたい」(*2)とある。『元史』選挙志記載の元祐条例(*3)に春秋の出題方法は述べられていないが,維の本書による限り,しばしば経文が重複したからであろう,合題の方式(*4)に改めたようである。明朝の春秋合題の方式は,元朝の方式を襲ったものであろう。

維の自序には「春秋は変化そのものであるから決まった形は存在しない。だから合題にも決まった題目はない。また春秋の筆削には微旨がある。だから経文を錯綜することで聖人の微旨が得られる。(*5)初学者は活法(*6)によって春秋の主旨を求める術を知らない。だから試験のとき往々にして有司の意を損ねるのだ。そこで合題として選ばれそうないくつかを選び,各題目に解説を付した。変化無窮,縦横無尽の様態を極めることで,試験の難敵を防ごうと思うのだ」(*7)とある。その一方で「学生諸君はこうして活法を手中に収めれば,経文の微旨もまたその中にある。だから〔本書の研究は〕科挙だけのものではない」とも言うが,本書は結局のところ科挙のために作られたものであり,経学家の重んずべきものではない。

『四庫全書総目提要』巻30



(*1)春秋は文字数が少なく,随って出題可能な部分も少ない。だから長らく春秋の試験を行っていると,もともと少ない出題可能な範囲がすぐになくなってしまい,簡単に過去の出題と重複してしまう,という意味。例えば礼記の出題可能な問題数が1000,春秋は100とする。そして1回の試験で1問使うとする。すると礼記は1000回分新しい問題を出せるが,春秋は100回で限界になる。だから春秋の場合は101回目で必ず過去100回の試験のどれかと同じ問題を出さざるを得なくなるということ。
(*2)以上は礼部貢挙条式の「臣竊見貢舉令,諸春秋義題,聽於三傳解經處出,注云:「縁經生文而不係解經旨處者非。」詳考立法之意,蓋以春秋正經載十二公二百四十二年之事,解語簡約,比之五經爲略。立之學官,歴時滋久,問目所在,易於周徧。比聽於三傳解經處出題,巳載諸甲令。惜乎,中更姦臣之私意遂行廢罷,學者不見聖人之經久矣。靖康之初,淵聖皇帝毅然復之,用以取士。然是歳即遇科舉,朝廷深慮四方之士未能精熟,因降指揮,止於正經出題行之。十年于茲,學者誦習既久,有司出題既衆,往往州郡問目,重複甚多。晩生後進轉相傳寫,毎遇程文少不相犯。此混亂實學之大弊也。臣愚欲望,陛下特降睿旨,舉行貢舉之令,聽後舉取士亦於三傳解經處,相兼出題。庶問目稍廣,學者因得旁加考究,可以深求聖人之經旨矣。」をつづめたもの。
(*3)元祐条例。恐らくは延祐条例の誤り。元祐は北宋の年号。
(*4)合題は複数の関係経文を合わせてその意味を問うこと。たとえば従来の経義では隠公の「元年春王正月」の意味を問うていたものが,合題になると「元年春王正月」と「秋七月」との関係について意味を問うという問題の出し方に変わる。複数条にわたって問題が出せるので,必然的に出題可能回数は増え,試験題目の重複も著しく減少する。
(*5)下に原文を掲げたが,原書が存在しないので,楊維の立論の主旨が分かりづらい。ここの原文は「春秋正變無定例,故關合無定題。筆削有微旨,故會通有微意」となっており,「春秋正變無定例,故關合無定題」と「筆削有微旨,故會通有微意」が関連づけられている。「正変」はおそらく「つねに変化すること」を指し,「定例(決まった形)」と対にしているのだろう。「定例」は「凡例」と同義の春秋学の基本用語だが,訳文では意訳しておいた。なお「正変」が楊維の用いた学術用語であるか否かは,原著散佚につき不明。次に「關合無定題」であるが,「關合」は合題と同じ意味(正確には若干異なる)。定題は定例と同趣旨のことで,恐らく決まった出題とでもいう意味だろう。次に「筆削有微旨,故會通有微意」。筆削に微旨があるのは当然だが,それが会通に微意があるのとなぜ「故」でつながれるのか意味が分からない。筆削は孔子が経文を増損したこと,会通は経文を錯綜円融して微意を探り出すことを意味する。筆削の微旨は屬辭比事(会通と似た専門用語)によって得られるという程度の意味であろうか。
(*6)活法。ここでは答案のうまい書き方という程度の意味。
(*7)原文「春秋正變無定例,故關合無定題。筆削有微旨,故會通有微意。初學者不知通活法以求義,場屋中往往不得有司之意。今以當合題凡若干,各題著説,使推其正變無常,縱横各出,以禦場屋之敵。」
(*)本書は現存しない。

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