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田川ちょこ『ひかるファンファーレ』第1巻

ひかるファンファーレ 1 (まんがタイムコミックス) (まんがタイムコミックス)ひかるファンファーレ 1 (まんがタイムコミックス) (まんがタイムコミックス)
(2009/03/07)
田川 ちょこ

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ちょっと前に発売された田川ちょこ氏の『ひかるファンファーレ』第1巻。田川氏の初掲載,初連載,初コミックスだそうです。この本にはいろいろ思うところがあって,迷ったあげく購入することにした。

著者氏や本書の愛好家には申し訳ないのだが,私は当初この四コマにあまり好い感情を抱いていなかった。本作は一つ一つ丁寧に作られているし,著者の意図もわかり安く,絵柄も見やすくかわいい。しかし申し訳ないことに,本当に申し訳ないのだが,私は著者の主張や「言いたいこと」に嫌悪感に近い一種の反感を覚えていた。

じゃあ読むなよ買うなよと言われそうだが,ここが奇妙なところで,申し訳ないことに(何度も言うが)本作に好意的になれなかったのだが,さりとて無視できなかった。なにかしら引かれるものがあったのは確かである。だから雑誌でもいつも読んでいたし,単行本化が決まったときには購入の算段を立てもしたのである。で,現実にこうして購入したのだ。

ちなみに,ぼろくそに非難してからこう言うのも何だが,いま『ジャンボ』で連載している本作には,私は好意的だったりする。なぜそうなったのか,私もよくわからない。もしかしたら慣れただけなのかもしれないが,一つだけ思い当たることがある。

本作はすごく真面目で立派な話が多い。「いい話」じゃなく,立派な話が多いのだ。あえて古くさい表現を仕えば道徳的訓戒が込められた作品だということになり,軽く言えばいちいち説教くさいのである。

本作は「ミニ」なサイズの高校一年生・ひかるとその仲間たちが,吹奏楽部で音楽の楽しさを実感する話である。ひかるはチューバという自分より大きい楽器で活躍する。最近の萌え系設定ではなく,噂に聞く乙女ゲー的な設定なのかもしれないが,その手の「いかがわしい」展開は絶無であり,単に設定上に背の低い女の子(主人公),クールな万能天才少年,元芸能人で腹黒乙女(+怪力),その他友人2人がいるにすぎない。

彼等の行動は実に模範的である。天才クール少年は人知れず努力を重ねることで才能を開花させ,腹黒乙女にしても,いじめや嫌がらせとは無関係,むしろ世故に長けた老練な女性の感すらあり,主人公のひかるも極めて真面目な人間である。ときには弱音を吐くこともある。重くて目立たないチューバにいらだちを覚えることもある。でも人の喜び,子供たちの笑顔を見れば,それだけでもう心が晴れやかになり,また一段とチューバが好きになる........

私の如き曲がった人間には考えられない展開だが,私も大人だ。立派な話だからといって非難したりしない。にもかかわらず本作だけに特別な臭いを感じたのは,本作に善意の作為を感じたからではないかと思う。物語(?)が進むにつれて,結果として,クール少年は結構立派なやつだな,腹黒乙女もなかなか老練だなと感じるのではなく,立派な話にしようとしているような,そんな気がするのである。道徳の教科書を読んでも感動などしない。人を最も感動させるのは,作為を隠蔽しきった作品である。道徳の押し売りは人の反感を買うのである。

最近の連載が面白くなったと思ったのは,そのような道徳的臭味が後方に退き,登場人物が「普通」に振る舞いだしたからではないかと思う。あるいはそのような展開が充分期待されるのに,あえて道徳の押し売りをされたところに反感を感じていたのかも知れない。ただようやく作品「本来の」面白みを感じ出したのは,実に単行本第1巻の最後だったのだが。いずれにせよ,私にとって本作が今後の注目作品であることにかわりはない。

最後にももう一度書いておくが,著者氏と本作の愛好家には申し訳ない感想になってしまった。しかし外野ではあるが,私も本作の愛好家であることだけは事実である。


田川ちょこ『ひかるファンファーレ』第1巻(芳文社,2009年3月22日。実際は3月7日)

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テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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同感です

こちらでははじめまして。
いつもブログご覧頂きありがとうございますm(_ _)m

私も「ひかるファンファーレ」については江藤さんと同じような感想を抱きました
単行本化決定が決まってから話のテンポや絵の質が上がったような気がしますね

まんがタイムジャンボで連載している作品は途中から化けて良作になる作品が多々あるので、この作品もその1つかなって思います。

浅い感想で申し訳ないです^^;

Re: 同感です

ブログに立ち寄っていただきありがとうございました。

私の方こそ妙に堅苦しい感想しか書けず,自分でも嫌になります。

田川さんの四コマですが,同じ感想の人がいて安心しました。四コマ初連載ということで,ちょっと「いいもの」を狙いすぎたのかも知れませんね。現在の連載はずいぶん面白くなって,毎月楽しみにしております。

当ブログ,四コマの感想は多くありませんが,これからもよろしくお願いします。また英田さんのブログにもおじゃまします。
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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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