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四書五経の訳本(2)

前回の続き。以下の記事は、大半が記憶で書いていますから、不満のある人は御指摘ください。ただし私の岩波文庫に対する評価は低いので、その文句を言われても応じかねます。

最終更新日:2010/02/08
前回改訂日:2009/09/20

(C)ようやく訳本
十三経の訳本の中、全訳本(書き下しは不可)で且つ市場にそこそこ流通している(していた)ものをあげる。したがって専門誌で発表された翻訳やネット上のものはすべて省略した。便宜的に訳本の下に若干の私見を付した。すなわち(1)訳文の種類、(2)原文・書き下しの付加、(3)注釈の基調である。(1)は訳文が書き下し調か否か、(2)は原文・書き下しを収めているか、それとも現代語訳のみか、(3)は依拠した注釈が何にもとづくか、を指す。この中、(4)については、次回(四書五経の訳本(3))で触れる。

四書五経の訳本は、文庫本以外、どれも驚くほど高い。購入を考えている人は慎重に選ばれたし(金持ちを除く)。参考までに図書館などに設置されてある大系本を挙げておく。

(参考)
『新釈漢文大系』‐手に入るが高い。全般的に『全釈漢文大系』に劣る。レイアウト的に読みにくい。
『全釈漢文大系』‐新本は入手不可。全般的に『新釈漢文大系』に優る。
『中国古典選』‐部分的に入手可。立派な本だが、解説のみで訳文がない。
『中国古典文学大系』‐翻訳のみで原文・書き下しはない。読みやすい。
『中国古典文学全集』‐上の旧版。四書五経に関しては基本的に同じ。
その他特殊な出版社‐極度に値段が高い。揃えると福沢先生が何枚も消える。

六経
(1)易
1.高田真治・後藤基巳『易経』(岩波書店、1969年。岩波文庫。全2冊)
2.鈴木由次郎『易経』(集英社、1974年。『全釈漢文大系』第9‐10巻)
3.本田済『易』(朝日新聞社、1978年。『中国古典選』)
4.今井宇三郎など『易経』(明治書院、1987‐2008年。『新釈漢文大系』23‐24・63)

〔総論〕易は人気があるので多数の訳本が出回っている。しかし古典の翻訳として入手可能、あるいは図書館に収蔵されているのは、この四種類だろう。この中、本田氏のは後に朝日文庫2冊として発売され、さらに1冊本として新版(1997年)が出版された。基本的には同じ本であるが、古書で入手するなら、朝日文庫か新装版の方がいい。1~4のどれにも原文・書き下し文が付いている。ただし3は訳文がなく、原文・書き下しに解釈が施されている。解釈を通読すれば原文が理解できるよう配慮されてはいるが、原文の訳文だけを読みたいという人には向かない。

〔各論〕1の岩波はなにかと有名だが、既に過去の本なので勧められない。2は漢代の易学を、4は宋代の易学を基調として翻訳されている。したがって古い易学を知りたい場合は2を、宋代の易学を知りたい場合は4を読む方のがよく、性格的に分ければ、象数易は2を、義理易は4を、ということになる。しかしどちらの翻訳も難解で、易学の基本知識を身に付けてからでないと、訳文の読解は不可能に近い。そして易学を一通り理解している人間は、あえて訳文を利用しない、という悪循環に陥る。2と4ともに易の解説が掲載されているが、易学の素養のない読者がそれだけを読んで理解できるとは思われない。

3はどちらかというと宋代の易学理解に近いが、著者の見識で判断したところも少なくない。しかし3はまともな易学の翻訳書の中、唯一意味の分かる本だとされるので、もし易の本を読みたいなら、3が一番いい。ただし易は難解なので、どれかの訳本を読めば内容が理解できるというものではない。なお3の本田氏には『易学 : 成立と展開』(平楽寺書店, 1960年)がある。古い書物だが、易学の基本的知識を解説したものとして定評がある。

(2)書
1.尾崎雄二郎など『詩経国風 書経』(筑摩書房、1969年。『世界古典文学全集』2)
2.赤塚忠『書経 易経(抄)』(平凡社、1972年。『中国古典文学大系』第1巻)
3.池田末利『尚書』(集英社、1976年。『全釈漢文大系』第11巻)
4.加藤常賢など『書経』(明治書院、1983‐1985年。『新釈漢文大系』25・26)

〔総論〕書経には今古文という難しい問題が横たわっているが、ここでは触れない。上の四つの書物の中、2は現代語訳のみで、その他は原文・書き下し・現代語訳のセット。また1と2は普通の順序で翻訳しているが、3と4は特殊な排列をしている。これは上に触れた今古文の問題から来るものである。ただしいずれも『尚書』全文を訳出しているので、どの訳本を用いても、とりあえず『尚書』全文を読むことはできる。なお『尚書』には書序とよばれる『尚書』各篇の序文がある。書序は後学が偽作したものというのが定説だが、伝来のあるものなので、中国古典を理解するには不可欠なものである。ところが多くの翻訳書はこの書序を削っている。書序の訳文を求める人は、1を読まれるとよい。

〔各論〕1は標準的な翻訳だが、訳文が少し面白い。書経は名君の言葉を収めたもののはずなのに、「俺は」「俺は」となって、ずいぶん威張った君主に見える。2と3は当時最新の発掘史料を用いて解釈したもの。そのため訳文は伝来の解釈と異なる部分も少なくない。4は途中で訳者が変わるなど、あまり統一性がない。なお2と3には『尚書』に対する詳細な解説が付されている。しかし2の方が初心者向けで、3はある程度の知識がないと理解が難しく、また著者の所信に忠実すぎるところもある。『尚書』全般の知識を求める人は、まず2の解説を読み、ついで1か2の訳本を利用されるのが便利だろう。

(3)詩
1.目加田誠『詩経 楚辞』(平凡社、1969年。『中国古典文学大系』15)
2.石川忠久『詩経』(明治書院、1997‐2000年。『新釈漢文大系』110‐112)
3.高田真治『詩經』(集英社、1966‐1968年。『漢詩大系』1‐2)

〔総論〕詩経は漢代経学の一つとしての詩経と、宋代以後の詩経と大きく二つの傾向がある。漢代の詩経学は、詩の一字一字に政治的意味を見い出す解釈で、明らかに人間の自然な感情を歌った詩に対しても、「時政を風刺したものだ」と解釈する。それに対して宋代の詩経学は、詩人の自由な感情を歌ったものとして詩経を理解する。宋代以降の解釈の方が現代の日本人の解釈に近い。ただ私は詩を解さないので、これ以上の詳しいことは説明しかねる。

〔各論〕2は伝統的な解釈を無視した自由訳で、普通の『詩経』を読みたい人には勧めかねる。あくまで石川氏の詩経でしかない。3も高田氏の判断によって翻訳したものだが、著名な解釈を脚注に残しているので、多くの解釈を知りたい場合には便利である。上の漢代と宋代の相違も手に執るように分かる。しかし全体的に堅い翻訳で、現代的な日本語とは言い難い。両書とも原文・書き下し・現代語訳がセット。1は翻訳のみ。傾向などは不詳。ただし目加田氏はその道の権威。その他、海音寺潮五郎氏にも『詩経』の翻訳がある。これも自由訳。なんでも詩経を日本の『万葉集』と見立てて訳したそうだ。

(4)礼
(A)儀礼
1.池田末利訳註『儀禮』(東海大学出版会、1973‐1985年。全9冊)

当時最新の考古学的成果を盛り込んだ翻訳で、『儀礼』成立当時(もしくは漢代)における『儀礼』の意味を探った翻訳。『儀礼』の翻訳には対抗馬がないので、翻訳の巧拙を論じても意味がない。もし『儀礼』を読みたい人がおれば、望むと望まざるとに関わらず、本書を読まざるを得ない。ただ通読するには相当の学力と根気を要する。最終巻に儀礼を中心とした礼学の歴史が概説されている。ただしこちらもある程度の知識がないと理解が難しい。あと全巻揃えると相当高額になる。

(B)周礼
1.本田二郎『周禮通釋』(秀英出版、1977‐1979年。全2冊)

難解をもって知られる『周礼』の全訳。『儀礼』と同じく、対抗馬がないので翻訳の巧拙を論じても意味がない。学史上の理由もあるが、本書には鄭玄の注が書き下しで掲載されている。したがって翻訳も鄭玄の注に沿った解釈をしている。『周礼』の翻訳はこれしか存在しないので、難しくてもこれを読むしかない。古本でしか手に入らず、しかもかなりの高額になる。

(C)礼記
1.竹内照夫『礼記』(明治書院、1971‐1979年。『新釈漢文大系』27‐29)
2.市原亨吉など『礼記』(集英社、1976‐1979年。『全釈漢文大系』第12‐14巻)

大部の本のためか、図書館などで見かける全訳は上の二つに限られるだろう。両者とも原文・書き下し・現代語訳のセット。1は訳がこなれており、訳文を通読するには面白い。比較的自由な解釈が施されており、伝統的な読み方と違うところも少なからずある。2は鄭玄の注を書き下しで収めており、伝統的な解釈を重んじている。参考書として使うには全釈本の方が便利だが、通読するには新釈本の方が便利なときもある。なお新釈本には「大学」「中庸」の二篇が訳されていない。これは『新釈漢文大系』に『大学・中庸』の巻があるからだという。すこぶるユーザビリティーの悪い方式だが、出版社の方針なのでしかたがない。利用者は充分注意されたし。

(5)楽
そもそも書物が存在しない。『礼記』楽記は『礼記』の翻訳を参照。

(6)春秋
(A)公羊伝
1.岩本憲司『春秋公羊傳何休解詁』(汲古書院、1993年)

難解をもって知られる公羊伝、および公羊伝解釈の最高権威・何休の注を全訳したもの。ただし経文の翻訳はなく、原文のまま掲載されている。対抗馬が存在しないので、どうしても『公羊伝』を読みたければ、これを読むしかない。訳文は難解。これは訳者の腕が悪いのではなく、公羊伝の内容がもともと難解な上、公羊伝が漢文の語順を重視する学問のため、日本語で理解するのが難しいことによる。なお公羊伝の春秋経文を忠実に翻訳したものは存在しないが、一般的な春秋経の翻訳でよければ、下の『左氏伝』の翻訳書を参照されるとよい。ただし公羊伝の経文と異なる場合があるので注意を要する。

(B)穀梁伝
1.岩本憲司『春秋穀梁傳范集解』(汲古書院、1988年)

難解をもって知られる穀梁伝、および穀梁伝解釈の最高権威・范らの注を全訳したもの。上の岩本憲司『春秋公羊傳何休解詁』と同じ。

(C)左氏伝
1.竹内照夫『春秋左氏伝』(平凡社、1968年。『中国古典文学大系』第2巻)
2.鎌田正『春秋左氏伝』(明治書院、1971‐1981年。『新釈漢文大系』30-33)
3.竹内照夫『春秋左氏伝』(集英社、1974‐1975年。『全釈漢文大系』第4-6巻)
4.小倉芳彦『春秋左氏伝』(岩波書店、1988‐1989年。全3冊。岩波文庫)
5.岩本憲司『春秋左氏傳杜預集解』(汲古書院、2001‐2006年。全2冊)

〔総論〕左氏伝は春秋三伝の中で最も人気がある。そのため他の二伝に比して分量がかなり多いにも関わらず、全訳本も少なくない。上には入手可能なものと図書館で比較的目にするものを挙げた。

〔傾向〕1と4は訳文のみ、2と3は原文・書き下し・現代語訳のセット。2は教科書の参考書的な本で、使いにくく、通読にも不便。段落の切り方も分かり難い。他の古典を読みながら、左氏伝の必要箇所を探す場合など、特に探しにくく不便である。3は標準的。1と4は原文や書き下しなどがないので、読みやすく便利である。5は上の『春秋公羊傳何休解詁』と同一著者による同一傾向の訳本で、左氏伝解釈の最高権威・杜預の集解も訳出しているのが特徴。

〔各論〕1と4を比較した場合、1の方が伝統的な読み方に近く、4は現代の左氏伝研究の成果を取り入れたところがある。では4の方が便利かというと、必ずしもそう言えないところがある。他の古典を読むと、左氏伝の参照を求められる場合があり、その多くは伝統的な左氏伝の参照を要求する。そのため4では理解にズレが生じるのである。しかし左氏伝だけを読むのなら、4は工夫をこらして読者に通読の便を与えているので、明らかに4の方が読みやすい。


四書
四書は分量も少なく、特に『論語』は翻訳数も多い。私は四書が嫌いなので、いちいち翻訳を調べ廻る癖はない。そのためすべての翻訳を知っているわけでもなく、また知っていても無視する場合も多い。したがって以下は私の知る代表的なものに限った。

(1)大学・中庸
1.赤塚忠『大学・中庸』(明治書院、1967年。『新釈漢文大系』2)
2.島田虔次『大学・中庸』(朝日新聞社、1967年。『中国古典選』4)
3.山下龍二『大学・中庸』(集英社、1974年。『全釈漢文大系』3)
4.金谷治『大学・中庸』(岩波文庫、1998年)

〔総論〕『大学』と『中庸』は古注と新注の区別を知っておかなければならない。詳しくは(3)に記す予定なので、ここでは簡単に記す。日本に大きい影響を与えた朱子学系統の注釈(江戸時代から戦前にかけてポピュラーだった翻訳)を新注といい、朱子学誕生以前の注釈(およびその拡大版の清朝の注釈)を古注と言う。両者は解釈にかなりの隔たりがあり、受ける印象もかなりの差が生じる。『大学』に至っては本文すら大きく異なる。

〔傾向〕古注と新注を念頭に訳本の特徴を挙げると、まず1は古注を中心としつつ、必要に応じて新注を加えている。極めて標準的な翻訳書。ちなみに赤塚氏の専門は古代で、古注の生まれた時代である。2には翻訳がなく、書き下しと通釈のみ。本書の特徴は、徹頭徹尾、朱子学の理解にそって『大学』と『中庸』を翻訳したところにある。まま島田氏の推奨する陽明学の解釈も加えてある。島田氏の専門は近世で、新注の生まれた時代である。同シリーズが文庫化されたとき、上巻が『大学』、下巻が『中庸』に分冊された。3の山下氏は陽明学の研究者で、そのためか『大学』に王陽明の解釈を大幅に取り入れている。本書の特徴はこれにつきる。4は有名どころでは一番新しい翻訳。原則的に古注を軸としているが、新注でも読めるよう配慮している。金谷氏は他にも『世界古典文学全集』(筑摩書房、1971年)などで『大学・中庸』を翻訳しているが、岩波文庫の翻訳の方がいい。金谷氏は武内義雄の弟子なので、基本的に古注を重視している。

〔補足〕『大学』と『中庸』には変なファンがいるので、あまり余計なことを書きたくないが、私とすれば、普通に『大学』と『中庸』を読みたければ、1がいいように思う。特殊なものが読みたければ2がいい。ただし訳文はない。3は陽明学の愛好家でもない限り、稀覯本でもあるし、あえて選ぶ必要はないだろう。手頃な値段で欲しいというなら、もちろん4でも構わない。要するに、どの翻訳で読んでもいいと思うが、新注と古注で少し雰囲気が違うので、選んだ翻訳が面白くなければ、別の傾向の翻訳を読んでみるのも悪くない。もちろんそこまでして『大学』『中庸』を読む必要があるか否かは別の問題だ。

(2)論語

1.金谷治『論語』(岩波文庫、1963年。1999年改訂)
2.吉川幸次郎『論語』(朝日新聞社、1965年。『中国古典選』)
3.貝塚茂樹『論語』(中央公論社、1966年。『世界の名著』。1973年文庫)
4.木村英一『論語』(講談社、1975年)
5.宇野哲人『論語』(講談社学術文庫、1980年)
6.宮崎市定『論語』(岩波現代文庫、2000年)
7.加地伸行『論語』(講談社学術文庫、2004年。2009年改訂)

〔総論〕『論語』の翻訳は他にもたくさんあるが、興味がないので細かいところは省略する。1は定番。なんとでも解釈できて色がない。2の吉川氏のは、翻訳はないが多くの解釈が載っている。手っ取り早く本文を読みたい人には奨められない。3は貝塚氏独自の解釈が目立つ。誤謬を指摘されるところもあるが、一条ごとに貝塚氏の感想が書かれており、読む分には楽しい。4は巻末の解説が比較的詳しい。5は比較的出版年が新しいが、戦前に活躍した学者のもの。訳文はこなれている。ただし新注(上の『大学・中庸』を参照)を基本にしているので、他の解釈と少し違うところがある。6は東洋史の人のもの。専門外ゆえに斬新さがあると言われるが、私には分からない。7は有名どころでは一番新しい翻訳。ファンも多いらしい。5以外は、新注古注の別なく、いいものを採用している。

〔補足〕『論語』は短い文章ばかりだから、適当なページを開いて、自分の求めているものに合致すれば、どの翻訳でもいいと思う。『論語』だけではないが、この種の著名な古典の翻訳は、最初と最後だけうまく、中程は力を抜いている、などということは絶対にない。どの条文もすべて全力投球で翻訳されている。ネット通販だから本文を確認できないけど、どうしても『論語』の翻訳を1冊買いたいという人は、普通でよければ1、詳しいのがよければ2、面白いのがよければ3、通ぶりたければ7をおすすめする。ただし面白くなくて文句を言われても困る。

(3)孟子
知らん。


その他
(1)孝経
1.武内義雄・坂本良太郎『孝經・曾子』(岩波書店、1940年。岩波文庫)
2.林秀一『孝経』(明徳出版社、1979年。『中国古典新書』)
3.栗原圭介『孝経』(明治書院、1986年。『新釈漢文大系』35)
4.加地伸行『孝経』(講談社、2007年。講談社学術文庫)
5.竹内弘行『孝経』(タチバナ教養文庫、2007年)

なぜか大量の翻訳書がある。1の訳文は書き下し。5は珍しく今文系の翻訳。お好きなのをどうぞ。値段が高い方が、紙の分量だけ注が詳しい。ただし高くて太いと思ったら、字が大きく余白が広いという場合があるので、それだけは注意されたし。

(2)爾雅
訳本なし。

(3)大戴礼
1.新田大作『大戴礼』(明徳出版社、1972年。『中国古典新書』)
2.栗原圭介『大戴礼記』(明治書院、1991年。『新釈漢文大系』113)

十三経の中に入らないが、訳本も存在するので挙げておく。『大戴礼』は『小戴礼』が流行して以来、研究するものが少なく、ついに一部が失われた。したがって現在通行している『大戴礼』には本文欠落部分がある。さて訳本であるが、事実上2以外に選択肢の余地はない。原文、書き下し、現代語訳のセット。書き下しだけでよいなら、1も全文を収めていたと記憶する(記憶が曖昧なので、間違っていたらすみません)。ただし2の解説はあまりに晦渋で、著者の主旨もつかみがたい。また訳文も決して丁寧ではない。なお『大戴礼』には曾子の発言が多く見られ、それらのかなりの部分は岩波文庫の『曾子』に収録されている。ただし『曾子』も書き下しのみ。また『大戴礼』には夏小正の一篇があり、伝説では夏時代の暦を書いたものとして知られている。興味深い記事を多く含んだ書物ながら、手頃な訳本が存在しないのは残念である。

(4)荀子
1.金谷治『荀子』(岩波書店、1961‐1962年。岩波文庫。全2冊)
2.藤井専英『荀子』(明治書院、1966‐1969年。『新釈漢文大系』5・6)
3.金谷治など『荀子』(集英社、1973‐1974年。『全釈漢文大系』第7・8巻)

『荀子』は経書でもなんでもないが、『孟子』が登場したので不公平がないよう挙げておく。と、言いたいところだが、『荀子』は翻訳が少ない。名前だけはかなり有名なのだが、『孟子』に圧倒されている。さて、訳本の中、2と3は原文・書き下し・現代語訳のセット、1は書き下しと現代語訳のみ。1は文庫本ということもあり、入手しやすい本ではあるが、訳語に思想的偏見が見られ、個人的には勧められない。2が標準的。




バックナンバー:
四書五経の訳本(1)……基礎知識のみ。訳本の一覧はない。
四書五経の訳本(3)……予備知識。訳本の一覧はない。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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