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伝記資料索引

あいかわらず谷秦山やら真潮さんやらを調べているのだが、どうも研究分野が異なるせいか、調べ方のよく分からないことが多い。ただ便利本があれば何らかの痕跡を見いだせるはずなのに、それがないのを見ると、恐らく私が求めている便利本はまだ作られていないのではないか、とも考えられる。

私は宋代のことをいろいろ研究していたが、『宋人伝記資料索引』というのが存在する。最近ではこれに『全宋文』というのが加わった。この『宋人伝記資料索引』、宋代の人物を調べる場合、必ずお世話になる索引で、非常に便利なので発売された当時から重宝がられていた。

では『宋人伝記資料索引』はどのような本か。その名の通り、宋代の人物の伝記資料をできるだけ網羅的に、一覧表にしたものである。例えば、「江休復」を調べると、江休復の墓誌銘やそれに言及した史料の一覧が記されている(手頃にぼけた写真が撮れたので、著作権のことも鑑みて、そのままあげておく)。

江休復

伝記資料の収録範囲が今一つ確定的でないのが少し残念ではあるが、ちょっとした有名人の王安石で調べると100種類以上、蘇軾に至っては数頁にわたって伝記資料が挙げられていることからも分かるように、かなり網羅的に伝記資料をあげている。

私としては江戸時代にも『宋人伝記資料索引』のような気の利いたものがないか調べてみたが、どうもないらしい。人物別に号とか生卒年とか別名とかを記したものや、人物の伝記そのものを記したものはあったが、それなりの史料一覧を提示した索引は見あたらず、結局雲をつかむような気持ちで、自分の経験と勘だけを頼りに、秦山やら真潮やらの伝記を探すはめになってしまった。

それともう一つ、これは中国でも出来たばかりの本だが、『全宋文』というのがある。これは宋代の「文」を網羅的に集めたもので、さすがに最近の本だけあって、かなり文を収拾している。ちなみに文というのは、文集の詩以外のものを中心に、やや広く奏議なども含むものである。

従って、『全宋文』を見れば、宋代の人物の文章をほぼ網羅的に調べられる(というか本文を読める)という訳である。『全宋文』を製作するために、各種の資料を収集し、板本間で交換もしてあるので、利用者としてはかなり重宝する(ままミスもあるが)。だから例えば秦山や真潮の文章を読みたい場合、『全江戸時代文』でもあれば、ほぼ網羅的に、しかもすぐ本文を読むことができるはずなのだが、当然ながらこの手のものは存在しなかった。

研究に楽をするのはよくないし、この手の索引などが出たときには意味不明な批判をする人もいたが、常識的に、研究上の資料集が充実しているのはいいことだ。少なくとも研究しやすいことだけはたしかである。だから案外と日本の方にはこの手の本がないらしいことを知り、改めて『宋人伝記資料索引』に感謝する気持ちになった。人間、便利なものが手に入ると、あって当たり前のような気持ちになっていけない。

もっともこの手の資料集は、国家なり権力機関が半ば問答無用的に史料を収拾し出版した方が速くできる。その点、何に付けても権利が優先され、人権が取りだたされる国は、それ自体は褒められるべきことであるのだが(いや、あるからこそ)、この手の資料集を作るのに、驚くほど時間がかかる。まあ、権利を認めれば認めるほど利便性が逓減するのは、よくあることなので、一々驚くにはあたらないのだが。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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