スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夷狄の訳語

数日前のことだが、いきなり昼間に時間が空いてしまい、書店をふらふらしていたところ、普段は見向きもしない岩波文庫のコーナーで『アレクサンドロス大王東征記』という本に目がとまった。この本が出版されたとき、私はまだ院生だったのでよく覚えている。

まあ今の私には読んでも役立てられないだろうし、人生のよすがに読み耽るような歳でもないので、本を開いたこともなかったのだが、時間もあることとて、少しページを開いてみた。すると、内容はともかく、一つ面白い発見があった。夷狄という言葉が目に入ったのだ。

夷狄は中国の古文に頻出する言葉で、「中国」の対義語なのだが、なかなか置き換えの難しい言葉だ。一応は野蛮・外国・未開・無知・強暴などなど、あまり宜しからぬ属性を持つ人々が住む外国を意味することになっている。現在の日本にない概念なので、これを日本語に訳し直すのは厄介で、なんという言葉にするか、頭を絞らないといけない。

ひとくちに夷狄といっても、単に外国のときもあれば、外国とは余り関係なく、野蛮というような意味のときもある。では夷狄のままでいいかというと、現代の日本語で夷狄なんて言葉はまず使わないので、やはり言葉を置き換えないといけないだろうなぁなどと、考えさせられる。

ところがこの『アレクサンドロス大王東征記』、ペルシャ(だったと思う)のある部族か国家に対して、平気で「夷狄」の訳語を当てていた。原語が分からないので訳語の適否は分からないが、訳文だけから考えると、確かに「夷狄」の訳語がピッタリくる文脈だった。

漢文と無関係の文章で、夷狄の文字を見るとは、しかもこのご時世に。漢文を訳す場合、あまり無理して言葉を置き換えないでいいのだろうか、とそんなことを考えさせられた。でも夷狄の訳語を見て、意味が分からない人(高校生以下か?)はきっといるだろうなあ......

スポンサーサイト

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

awatan

Author:awatan
HN:江藤清通
かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

自営サイト
最近の記事
カテゴリー
リンク集
全記事表示

全ての記事を表示する

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。