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更新記録

ようやく気持ちが春秋学に傾いてきた。懸案の『春秋学入門』の全面改訂を実施中。とりあえず第一論文と附録を公開した。なお『春秋学入門』は『春秋学綱要』に改名した。以下、念のため更新ページのリンク。

  • 春秋学綱要の総合ページ
  • 凡例・・・・・・随時補正しているので未完成。第五論文終了時に完成する予定。
  • 第一論文・・・・・・なかなか難解だが、とりあえず補正した。ブログ掲載時の行き過ぎた翻訳は全て直した。
  • 第一論文補注・・・・・・あるていど説明したつもりだが、朱子学(理学)関係の語句をどこまで説明するかで思案中。
  • 附録1~4・・・・・・呂大圭の伝記や本書の序跋を載せた。二三、ブログ掲載時に不明だった箇所を補正した。
  • 原文・・・・・・本書の原文を掲載した。これはブログ未掲載。

本当はもう少し進む予定だったが、思いの外、改訂作業に時間がかかり、結果的に第一論文の公開で力尽きた。しかも昨日更新する予定だったのが、通して訳文を読む気力がなくなったので、やむを得ず今日の更新に切りかえたくらいだったりする。

以下、第一論文についての所感。すこし専門的なので、興味のない人は読まないが吉。

『春秋五論』の第一論文は、胡安国の学説を受け継ぎ、天理人欲の概念を春秋学に投入し、春秋学を統一的に把握すると同時に、返す刀で従来の有力学説である賞罰説を否定したものである。しかし、私はこれまでに何度か第一論文を通読しているが、どうもこの論理展開に疑問をぬぐえないでいる。この疑問は果たして私の読解が甘いせいだけだろうか。

呂大圭には『春秋五論』のほか、『春秋或問』という著書が残っている。その『或問』巻頭に春秋褒貶論と題した書物が残っており、ほぼ『五論』第一論文に相当する内容を論じている。こちらは『五論』以上に修辞表現が豊富だが、春秋学説としては常識的な論理展開で、至って理解しやすい。しかしこの春秋褒貶論、篇題からも明らかなように、春秋の褒貶説=賞罰説を論じたものなのである。

春秋褒貶論は、春秋学上の有力学説である賞罰説を否定したもので、ちょうど『五論』第一論文の後半(翻訳の「賞罰説の誤謬」部分)を主軸に、「天子の事」(翻訳の「目的」第一段落を飛ばした部分)を混ぜ込む形で論理を進めている。従って、『五論』第一論文の前半に頻出する、是非だの天理だのは余り問題にならない。

普通に読めば、『五論』全篇は明らかに春秋褒貶説(賞罰説)を否定し、新たな春秋学の読み方を提示したものである。しかもその論理展開に、必ずしも第一論文冒頭の天理人欲概念は必要としない。むしろ天理人欲概念を導入したことで、第一論文の主旨がぼやけた感すらある。もし第一論文から天理人欲(翻訳の「目的」部分)を削除し、いきなり褒貶説批判から始めたなら、もっと第一論文の論旨は明白になっただろう。

もちろん『五論』第一論文の主旨は理解できる。朱子学的に理解した心(天理・人欲)から論を進め、心をあらゆる問題の中心に据える。そしてその心を正しい状態にするための学問として春秋学を位置づける。そうであればこそ、宋代の春秋学者が漠然と抱いていた観念、即ち「孔子は聖人だったが匹夫だった、だから春秋に褒貶を発しなかった」とする理論に正当性を与えることがでたのである。換言すれば、漢代以来の「孔子は匹夫だったが聖人だった、だから褒貶を発した」とする学説を、顛倒させることに成功したのである。

しかしそうであればなおさらのこと、その点をもっともっと詳述すべきではなかったかと思われてならない。もちろん、当時の常識だったから、朱子学の基本的な観念は詳述しなかったと言うことはできる。しかし呂大圭の学説を知って驚愕したという潮州の学生には悪いが、宋代の春秋学に於いて半ば常識と化していた賞罰説否定を詳述した本書なのだから、その否定の根本原理を説明した心と春秋の関係は、もっともっと詳述してしかるべきではなかったかと思われてならない。

何にせよ、『五論』が名論であることに変わりはない。これは私がああだこうだと言わずとも、当時の人がそれを証明してくれている。ただ古典は執筆者と読解者の戦いだから、そして私はなにより『五論』を名論だと思うので、なおのこと私の疑問を直接ぶつけてしまうだけである。

400字詰原稿用紙にして200枚弱。春秋学のエッセンスをそれだけの分量にまとめきったものは、なかなか他には見あたらない。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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