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五論・十論

呂大圭に『春秋五論』があり、春秋学の綱要をあますところなく説いたのは有名な話だが(宋元代限定)、同じような書名の書物はたくさんある。その一つに洪亮吉の『春秋十論』がある。洪亮吉といえば『左伝詁』が有名で、中華書局から校点本が出版されて大変便利になった。が、それとは別に『春秋十論』というのがあり、春秋学の重要著作の一つに挙げられている。ちなみにこちらも中華書局の『洪亮吉集』に収録されている。

『五論』『十論』と似たような書名だが、現在の我々から見ると、両書はずいぶん傾向を異にした書物に感じる。『五論』は従来の義例説を批判的に理解したところに特徴があるとはいえ、その主旨は単に批判に止まらず、いかにも春秋学を体系的に述べたものである。しかし『十論』はずいぶん趣きが異なる。その題目を挙げれば概ね察知し得るであろう。

第1論:春秋時以大邑為県始于楚論
第2論:春秋不諱娶同姓論
第3論:春秋時晉大夫皆以采邑為氏論
第4論:春秋惟秦不用同姓而喜用別国人論
第5論:春秋晉比楚少恩論
第6論:春秋時君臣上下同名不甚避諱論
第7論:春秋時楚国人文最盛論
第8論:春秋時諡法詳略及美悪論
第9論:春秋時以隠疾為名論
第10論:春秋時仲尼弟子皆忠于魯国并善守師法論

各論文とも実に魅力的な問題提起だとは思うが、体系的に春秋学を論じたものではない。どちらかというと「春秋学の十大問題」という論説である。毛奇齡のような学者はしばらくおき、清代に活躍した多くの考証学者には、なかなか呂大圭のような体系的な論述がなく、個別的な議論をものにした場合が多い。

もちろんこうした諸種の学説を下積みにして、最後に今文学派(の中の特殊な人々)が現れ、比較的に体系的な学説を提起するのだが、その人々の学問はもう考証学と随分距離のあるところにある。清代の学者は宋元代の学者が春秋学を滅茶苦茶にしたと言ってよく謗るが、その実、では春秋学とはどのような学問ですか?と問われると、実に有り体の、したがって中身のない答えしか帰ってこない。この辺りが彼らと我らの差なのだろう。どちらが正しいというのではなく。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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