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秦山先生の魅力

生きる気力がなくなってくると、ブログも更新する気が失せてくるらしい。......当たり前か。しかしそのせいか最近は、もう止めてもいいかなと思ったり思わなかったり、忙しく頭をめぐる割にはふと気づくと無駄な時間を使っている気がする。何を止めるかはご想像にお任せします。

話題かわって、久しぶりに秦山先生のこと。

秦山の生き方を現在そのまま真似することはできない。なにせ秦山先生は江戸時代の人だから、税金とか生活とか、その他もろもろ、現在そのまま通用しないことが多いからだ。しかしそれらを差し引いても(本質的な部分だけど)、秦山の生き方は魅力的ではある。

およそ秦山先生ほど貧乏の似合う人はいない――と褒めたのか貶したのかわからない評価のされる彼の先生は、なかなかの貧乏人だったらしい。もちろん貧乏と言っても、仲間で講をつくって京都から書籍を「輸入」したり、渾天儀(天体観測器。江戸末期に大砲の弾になった)を作ったり、なかなかお金のかかることをしてはいる。しかしそれは弟子がそこそこ増えてからだったらしく、壮年のころまでは、墓参りの服がなくて、弟弟子に服の拝借の手紙を出したりしている。そういわれると、なるほどなかなかの貧乏人だ。

墓参りに余りにビリビリの服を着ていくのは気が引けたらしい秦山先生だったが、その他の貧乏についてはあまり気にしていなかったらしい。いや、むしろ進んで貧乏な生活をして、自身を鍛えたかったらしい。人間は栄達の欲望を捨てなければならない。さもなくば「正しい生活(学問)」ができないとか、そういうことを言っている。秦山先生の仰るところの「正しい生活」は、日本の国体を護持し、朱子学を捧持することらしいが、それは批判するにあたるまい。後者は当時の日本における最も進んだ学問だったし、前者は秦山の思想的結晶なのだから。

栄達を捨てるというと大げさだが、要するに、秦山先生の主張というのは、「貧乏でもいいから正しく生きよう!」というものらしい。現在の経済から考えると、恐るべき反動思想の持ち主ではあるのだが、例の砂漠の坊さんと同じで、なにかしら感銘を受けるものがある。こういう一種の変態的な生活は、言うは易く行うは難い典型例で、それだけに実践できる人間には、その当否とは別に、なにかしら人に感銘を与えるものがある。もちろんこの種の極端な貧乏主義は、中庸を貴ぶ普通の儒学者の嫌うところだし、江戸時代が平穏だったから出来ることで、恐るべき戦争状態であれば清貧もへったくれもあったものではない。しかし平穏であれば立派な人間となれるわけではないのだから、そこはそこ、毅然と生きたところこそ秦山先生の南学の泰斗たる所以だろう。

ちなみに秦山先生はなかなか世故に長けた人間らしく、上のような「学者のあるべき態度」を全員に求めたわけではなかった。秦山が言うには、若い人間に教育を施すときには、なるべく早く生きて行くための術を教えてやるべきだ。さもないと人はなかなか正しく生きていけない。生きる術を持ってこそ、正しく生きる基礎が得られる。もし極めて志しが篤く、学問に対する情熱を持つ人間がおれば、そのときは清貧に甘んじつつ、学問を修めさせよ。――と、現代的にいうとこういうことを言っている。あるときはまた、「師を選ぶときは最も気をつけなければならない。どれほど知識があっても、つまらない人間を師と仰いではならない。そのような人間の側に長らくいると、必ずその人となりが遷ってしまう。そうすればその弟子は一生を台無しにしてしまうだろう」と。

今にして思えば、なるほど儒学の思想ではあろうけど、秦山は単に鼻息の荒いだけの学者ではなかったようだ。こういう人間臭さを知りつくしたところにもまた、秦山の魅力がある。どうでもいいが明徳出版社の『日本の思想家』には秦山も入っているのだが、あれは出版されるのだろうか?いちおう出版されたら読んでみたいんだけど。

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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