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『司馬法』の佚文

中国の兵法書の代表に武経七書というものがある。武経七書とは、日本でもおなじみの『孫子』のほか、『呉子』『尉繚子』『六韜』『(黄石公)三略』『司馬法』『李衛公問対』の七つの書物の総称で、古来中国兵学の代表的古典とされてきた。その七書の一つ『司馬法』は、戦国の斉の威王の時代、古の司馬(軍を司る官)の兵法と司馬穰苴の兵論をまとめたものとされる。『司馬法』は兵法書に似合わず、仁義・道徳の必要性を強調するところに特徴がある。

しかるにこの『司馬法』なる書物には、一つ致命的な問題がある。あまりにも現存部分が少ないのである。中国最古の宮廷蔵書目録(現存の)の『漢書』芸文志は『司馬法』を記して一百五十五篇とするにも関わらず、現在はわずか一巻五篇しか残っていない。単純に考えて一百五十篇、すなわち原本の大半が失われたことになる。唐宋以前の古い書物には、まま『司馬法』が引かれているが、その中には現行本『司馬法』に見えない文句がある。それらは恐らく『司馬法』の佚文であろうと言われている。

とまあ、それはいいのだが、前に何かの調べごとをしていたとき、やたらと『司馬法』の佚文が目に付いたので、それらを集めたものでもないかなと思っていた。いや、あるはずなのだが、あまり興味のなかった分野なので、調べることなく無視していたのだ。しかるに最近になって偶然にも『先秦兵書佚文輯解』(リンクは書虫)というのを目にした。横書き簡体字の本書ではあるが、いちおう『司馬法』の佚文をすべて集めたらしい。本書の指摘によれば、佚文は総計60余条、しかもすべて短句で、長文は一つもない。なんとなく『司馬法』の佚文はふんだんに残っているのではないかと思っていただけに、この少なさには驚かされた。やはり佚文なんだなと。

ちなみに本書には『司馬法』の佚文のほか、『墨子』『韓非子』などの兵学関係の注解(これは無駄だった)、『孫子』『孫臏兵法』『六韜』『尉繚子』の佚文も収録されている。というか、そちらの方が本書の大半を占めている。このなか『孫子』以下は件の発掘資料を用いたものである。兵学関係には面白い本がたくさんあるが、残念ながら私は詳しくない。おそらくこの種の佚文集成ももっと良い本があるだろう。でもとりあえずチョロッと見てみたいという程度のことなら、本書でも十分こと足りる。

以上、単なる報告でした。

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