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お茶に酔う

むかし登場を願った堅物学者の劉敞先生。もういちど本ブログで活躍願おう。

怖いもの知らずの劉敞先生は、ささいな朝廷の儀礼をめぐって宰相に楯突き、さらにやかましくのたまうものだから、長安への転勤と相成った。劉敞も名臣の端くれだから、左遷ごときで悄げる人間ではないが、さすがに意気揚々とはいかず、なにか心に空しいものを抱えつつ、都を後にしたのだった。

古都長安。唐の昔日の賑わいほどではないが、なにせ長安は歴史を持つ大都市だ。金と力にものを言わせた豪傑が多くおり、地方官で赴任するものも、なかなかどうして、統治がむつかしかった。しかしそこは劉敞先生。てきぱき仕事をこなしつつ、札付きの悪党の隙を見つけるや、豚箱に放り込んで徹底調査、隠れた悪事を暴き立てた。おかげて古都の人々の尊敬を勝ち得たという。

しかし劉敞の噂が国都・開封で流れたのは、こういう「名臣」談ではない。この先生、絵に描いたようなたいへんな堅物なのだ。その堅物が、あろうことか女に溺れているというのだ。これには朝廷の高官も興味津々だった。

その女性は茶嬌という人で、公営の歌姫だったらしい。むろん美人であったろうが、劉敞が引かれたのは、その才知であった。茶嬌の機知にすっかり機嫌をよくした劉敞は、毎日のようにこの歌姫と酒を交わし、歌を口ずさみ、寂しさを紛らわしたという。

さて、年月が経ち、兄貴分の欧陽修の努力で、劉敞はふたたび朝廷にもどれることになった。劉敞としても朝廷復帰は願ったりなのだが、長らくお相手願った茶嬌氏のことは忘れられない。どんなときにも羽目を外さない先生には珍しく、最後の晩は思わず酒を痛飲し、体を壊してしまった。この晩を忍んだ劉敞の詩が、いまも伝わっている(贈別長安妓茶嬌、『永楽大典』巻624)。

玳筵銀燭徹宵明、白玉佳人唱渭城。
更盡一杯須起舞、關河秋月不勝情。

翌日、茶嬌の見送りを背に、劉敞は後ろ髪を引かれる思いで国都開封へと旅だった。

こちらは欧陽修。

久しぶりの対面とあって、開封府の城門を出て、劉敞の到着を待ちかまえていた。そこへのこのこ先生が近づいてくる。

欧陽修、「久しいね。せっかくの再会だ、どうだね、一つ盛大に酒宴でも?」
劉敞、「酒はちょっと。恥ずかしい話し、飲み過ぎで体を壊したものですから」
欧陽修、にやりと一言、「違うだろ、君の体を壊したのは、お茶のせいだろう?」

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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