スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

孫復『春秋尊王発微』始隠

宋代の春秋学を切り開いた学説――孫復の春秋尊王発微。というか、これ以前の学説はほとんど残っていないので、これが一番最初ということになっている。学問というのはそういう都合のいいものなのだ。世の中に残った学説が著名であったわけでもなく、著名であった学説が世に残るとは限らず、さらにいえば世に残った学説が必ずしも価値あるものとは言えないのに、なんとなく世の中に残って、なんとなく大事そうに見えるだけで、それが当時を代表する学問だということになる。

その孫復の始隠(隠公元年春王正月が始まる前のところ)の部分。時間がなかったので書き下しにした。余裕があれば後で訳文に差し替える。

孔子の『春秋』を作るや、天下に王無きを以て作るなり、隠公の為に作るに非ざるなり。然らば則ち『春秋』の隠公に始まるは、他に非ず、平王の終わる所なるを以てなり。何となれば、昔し幽王の禍に遭い、平王東遷し、平既に王たらず、周道絶ゆ。夫の東遷の後を観るに、周室微弱し、諸侯強大たり、朝覲の礼修まらず、貢賦の職奉ぜず、号令の束ねる所無く、賞罰の加うる所無く、法を壊し紀を易うる者之有り、礼を変じ楽を乱す者之有り、君を弑し父を弑す者之有り、国を攘け号を窃む者之有り、征伐は四出し、蕩然として禁ずる莫く、天下の政、中国の事、皆な諸侯之を分裂す。平王庸暗にして、孝を歴て恵を逾え、能く中興する莫く、播蕩陵遅し、隠に逮びて死す。夫れ生あれば猶待つべき有るなり。死せば則ち何を為す所あらんや。故に『詩』は黍離より降り、『書』は文侯之命より絶ち、『春秋』は隠公より始むなり。『詩』は黍離より下るとは、天下に復た雅有る無ければなり。『書』は文侯之命より絶つとは、天下に復た誥命有る無ければなり。『春秋』は隠公より始むとは、天下に復た王有る無ければなり。夫れ其の末を治めんと欲する者は、必ず先ず其の本を端し、其の終わりを厳にする者は、必ず先ず其の始まりを正す。元年に王を書すは、本を端す所以なり。正月は始めを正す所以なり。其の本既に端しく、其の始め既に正しく、然る後に大中の法を以て従りて之を誅賞す。故に「元年春王正月」と曰うなり。隠公は曷為れぞ即位を書さず。正しければなり。五等の制、世を継ぐと曰うと雖も、皆な天子に請う。隠公の恵を承くるは、天子の命なり。故に即位を書さず、以て正を見せり。



ちょっと手を加えた書き下し。

孔子の『春秋』を作るや、天下に王無きを以て作るなり、隠公の為に作るに非ざるなり。然らば則ち『春秋』の隠公に始まるは、他に非ず、平王の終わる所なるを以てなり。何となれば、むかし幽王の禍に遭いしとき、平王は東遷す。平〔王〕は既に王たらず、周道は絶ゆ。

夫の東遷の後を観るに、周室は微弱となり、諸侯は強大となれり。〔然れば〕朝覲の礼は修まらず、貢賦の職は奉ぜられず、号令の束ねる所もなく、賞罰の加うる所もなく、法を壊し紀を易うる者もこれあり、礼を変じ楽を乱す者もこれあり、君を弑し父を弑す者もこれあり、国を攘け号を窃む者もこれあり。征伐は四〔方より〕出ずるも、蕩然として〔これを〕禁ずるものなく、天下の政と中国の事とは、みな諸侯がこれを分裂〔して分け持てり〕。平王は庸暗にして、〔魯の〕孝〔公〕を歴て、恵〔公〕を逾ゆるも、〔なお〕能く中興するなく、播蕩陵遅し、隠〔公のとき〕に逮びて死す。

夫れ生あ〔る者な〕ればなお待つべきものあるなり。〔而るも〕死せば則ち何を為す所あらんや。故に『詩』は黍離より降り、『書』は文侯之命より絶ち、『春秋』は隠公より始むなり。「『詩』は黍離より下る」とは、天下にまた雅あるなければなり。「『書』は文侯之命より絶つ」とは、天下にまた誥命あるなければなり。「『春秋』は隠公より始む」とは、天下にまた王あるなければなり。

夫れその末を治めんと欲する者は、必ず先ずその本を端(ただ)し、その終わりを厳にする者は、必ず先ずその始まりを正す。元年に王を書すは、本を端す所以なり。正月は始めを正す所以なり。その本既に端しく、その始め既に正しく、然る後に大中の法を以て従りてこれを誅賞す。故に「元年春王正月」というなり。隠公は曷為れぞ即位を書さず。正しければなり。五等の制、〔先代の〕世を継ぐと曰うと雖も、みな天子に〔命を〕請う。隠公の恵〔公〕を承くるは、天子の命なり。故に即位を書さず、以て正〔しきこと〕を見(しめ)せり。



ふつうの春秋学を学んだ人がこれを読んだら、「この人、バカですか?」となる。でも、前提なくしてこれを読めば、「ふ~ん、なるほどね」となるかもしれない。新説なんてそんなものだな。したがって孫復の新説の意味を説明するには、孫復の否定した旧学説を説明しないといけない。孫復の学説の説明でないだけか、これから否定するために説明する。これは書きてとして大変な苦痛なので、ここでは説明しない。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

awatan

Author:awatan
HN:江藤清通
かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

自営サイト
最近の記事
カテゴリー
リンク集
全記事表示

全ての記事を表示する

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。