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『呂祖謙全集』

書くほどのことではないが,『呂祖謙全集』が刊行されるらしい。

数年前から話しは聞いていたが,この手の大掛かりなものは,実際に出版まで漕ぎつけられるか否か不明だったので,実際に出版されると知って人ごとながら安堵した。もっとも,まだ発売していない可能性もあるので,油断は禁物である。

呂祖謙の名前を知っている人は,現在では専門家かマニアくらいのものだろう。いや,私は知っている!と文句を言う人がいるかもしれないが,そう言う人は自覚がないだけで,恐らくマニアなのだ。実際問題,呂祖謙などが日本で話題に上ることはあり得ないのだから,この名を知っている方が尋常ではない。

呂祖謙というのは,朱熹の友達で,朱熹が若い頃に自分の名前を出すため,ダシにつかわれた人間である。とはいえ,ダシに使われるくらいだから,相当な実力の持ち主で,しかも相当の家柄で,さらに人と為りも相当に穏和だったものだから,人から好かれもしたし,尊敬されもした。

しかし呂祖謙という人は,今一つ評価の決め手がなかった。確かに博学で文章にも巧みだとはいえ,歴史好きが祟ったのか,きめ細かい議論を好まず,粗雑なところがあり,朱熹に比べると数段学者としての腕は劣る。文章にしても何も突出した巧さではなく,巧かったというに止まる。だからどうしても評価が難しくなるのである。

ただ歴史好きだったということから,『東莱博議』というものを書いており(東萊は呂祖謙の号),これは随分日本でも読まれた。春秋学を歴史に含めるのは現代人の錯覚で,本来は似ても似つかぬシロモノなのだが,『東萊博議』は初学者が苦痛なく春秋左氏伝の滋味を味わい得るように作られたものだけに,呂祖謙の見識と相俟って,読んでいてもそれなりに楽しめる。とはいえ,本書も已に過去のものであるから,現在嗜む人がそういるとは考えられないところが,いかにも呂祖謙の著作らしいところである。

呂祖謙を褒めるつもりが,貶したようなことになってしまった。しかしこれも仕方のないところである。褒めようと思えば褒められるし,全集が刊行されるほどの人間であるのだが,遺憾なことに大して面白くない人であることは否定できないのだ。まぁ,宋代や南宋研究には必要な人間だから,その手の人間で金銭的に余裕のある人は買うのだろう。


追記(2008/11/13):
忘れていたが,『呂祖謙全集』は発売された。詳細は北九州中国書店のここにある。

リンク先を見てもらえば分かるが,正直言って不要な部分が多く,贅肉だらけのぶよぶよ全集たる感をぬぐえない。『宋文鑑』,『近思録』,『音注唐鑑』や『東莱集註三蘇文集』なんてものは,呂祖謙の全集で読む必要はない。全体をスリム化すれば,全8冊くらいに収まったのではないだろうか。

こういう大がかりな本を出した理由は知らないが,もう少し現実的な利便性を考えて出版してもらはないと,値段ばかりが跳ね上がって,買おうと思っていた人間も手控えることになってしまう。しかし,日本でどれだけの人間が買ったのやら......

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かつては春秋学・宋代史・南学(秦山関係)関係の記事を中心に書いていました。最近は開店休業状態で、数ヶ月おきに思いついたことを書いてます。

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