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林癸未夫『随筆天邪鬼』

林癸未夫氏は,一時期,我が国において国家社会主義を唱えた一人である。林氏の著作については,前にいい加減な目録を作ったことがあるが,その中に「随筆」なるものが含まれていた。
随筆というのは,その人間の思考の来歴を知り得る場合があり,思想的に特徴ある人間の場合は是非とも読んでおきたいものである。林氏の随筆は国家社会主義提唱後(あるいは終了後)に出版されているだけに,私としてはこの随筆『天邪鬼』によって,もしかしたら林氏の国家社会主義理論の片鱗を知り得るのではないかと期待していた。というわけで,しばらく前にようやく本書を見つけて,勇み読んでみたわけである

結論から言うと,『随筆天邪鬼』は,林氏の国家社会主義と全く無関係だった。

以上。


何というか,本書は林氏の幼少時代の思い出や,嗜好品,遊び(碁など),息子さんのこと,大学での授業方法(人気の取り方)etc....というもので,私の期待していたような,国家社会主義の理論だとか,発想だとか,国家社会主義者との会合の話しだ,などというようなことは見られなかった。

善くも悪くも,林癸未夫という人は,常識的な人間だったようだ。もちろん個性的なところもあるだろうが,それも人間なら誰でもあるという程度のものに過ぎない。強いて成果を求めるなら,第一に,林癸未夫『随筆天邪鬼』には国家社会主義理論は説かれていないということと,第二に,こういう常識的な人間が国家社会主義を唱えていたということが確認できたということくらいだろうか。

考えて見れば,林氏の国家社会主義理論の大綱である『国家社会主義原理』も,仰々しき国家礼讃しているだけで,実は真面目で地味な本であるような気もしないではない。ここらが同じ国家社会主義者でも,津久井龍雄氏や石川準十郎氏らの,主義者,活動家といった範疇に入る人々と,林氏のような学者との差だろうか。

ちなみに,林氏の国家社会主義は,津久井龍雄『異端の右翼―国家社会主義とその人脈―』(評伝・第六)に「林癸未夫の『国家社会主義原理』」と題して,簡単な解説(事実上の要約)がある。『国家社会主義原理』は古本屋でも内容の割に異様に高いので,簡単な概要を知りたい人には,津久井氏の解説が便利である。尤も,津久井氏の本も簡単に手に入らなかったりするが。

林氏の学説を直に読む場合は,『国家社会主義原理』『国家社会主義論策』『国家社会主義と統制経済』に見えるが,それ以外の著作は遺憾ながら私も全て見たわけではないので,詳細は不明である。関係ありそうな『西洋思想の日本化』あたりは見ておきたいので,これはまた機会があれば調べてみたい。(近くの大学図書館にあるのだが,何分,身分がないので見せてもらえない……らしい)

追記:2008/12/06
『西洋思想の日本化』を読み得たので感想文を書いた。

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